** ケアンズと森とビーチの休日 **
レナは完全につむじを曲げて立ち止まってしまった。
そんなとき、willieさんが珍しい鳥がいると言った。
「日本にはいないんですよ、だから日本からバードウォッチングに来た人は結構見たがるんです。梢の上の方にいるから姿は見えないかもしれないけど、ちょうど真上。鳴き声が聞こえますか?」
「にゃ~っ!」
に、にゃー? 「に」に濁点を付けたようなちょっとしわがれた猫の鳴き声。
「ネコドリと言います。ミミグロネコドリ。英語でも同じで、キャットバード」
猫じゃなくて鳥なの!?
ネコドリはしばらく梢で鳴いていた。
姿も見えたような見えないような。何しろ熱帯雨林の木々はあまりに背が高く、おまけに真上を見上げるとシルエットになってしまって色もよく判らない。
「鳥の力は凄いです。例えばトウネンという鳥がいます。スズメぐらいの大きさの渡り鳥ですがケアンズから日本を越えてシベリアまで飛びます」
そんな小さな体のどこに長旅をする力があるんだろう。
カナやレナも5分歩いただけで疲れたって言うのやめようよ・・・ってこれは違うか。
この根っこでブーメランやテーブルを作ることで有名?
木の根元が三角の板みたいに盛り上がっている木も多い。
確かブーメランを作る木だ。
willieさんはこれについても、何故この木がこういう形になるのかまだ判らないのだと教えてくれた。同じ種類の木でもこういう形になるものとまったくならないものとあるのだそうだ。
「でもそういうことよりこの木はアボリジニがテーブルにするとかそういう方が有名になっちゃってますね」
ほほう、ブーメランだけじゃなくてテーブルにもなるのか。
これ以降、根元の持ち上がっている木を見る度にレナは「テーブルの木だね」と言うようになった。
「あれは何だか判ります?」
遠くて判らない。何かが木の枝からぶら下がっている。遠目にはカエルの卵のようなゼリー状の物体に見える。
双眼鏡をのぞかせてもらったらもっと気持ちの悪いものだった。
「毛虫の巣です」
ぎゃー。
葉っぱの裏に一面にたかった毛虫。
こんなものに限って動かないからばっちり写真に撮れるのよねぇ。
これはレナの撮影
ところで毛虫の写真は見たくない人もいらっしゃるということで、隠しました。この画像をクリックすると見られます。
ちなみにネコドリは撮影できてません。ごめんなさい。