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** ケアンズと森とビーチの休日 **

1.夜明けの光は無垢の森に




 「シッ、潜りました。潜っている間に川岸まで降りればもしかしたら目の前でカモノハシを見ることができるかもしれません」
 そう言われて急いで、でも音を立てないように注意しながら川に近づいた。枝をかきわけて、そーっとそーっと。
 どうやらカモノハシ探しの達人というのは、カモノハシがいる秘密の場所を知っている人のことではなく、カモノハシの習性を熟知してカモノハシと駆け引きができる人のことらしい。
 私たちはもしかしたら至近距離でカモノハシが見られるかも・・・。 




 三日目 4月28日(土)



 うとうととしていたら、「やっぱりオーストラリアでは早く目が覚めるだろう」と声を掛けられて、本当に目が覚めてしまった。
 「何言ってんのよ。せっかくいい気持ちで寝ていたのに話しかけられたから本当に目が覚めちゃったじゃない。どうしてくれるの~」
 旅先では不必要に早く目が覚める上に、時差ボケもあって馬鹿みたいに早くから活動を始めるパパと一緒にしないでほしい。
 昨日の疲れもあるんだから、私としてはせめて日の出少し前ぐらいに起きればいいつもりでいた。
 日の出は見たい。
 でもまだ夜も明けない朝の4時過ぎとかに起こされるのは絶対に嫌。

 もう眠れなくなったパパはリビングの方に行ってしまったが、私はまだベッドの中で眠り足りなくてごろごろしていた。
 うとうとしたり目が覚めたり・・・もう、一度起こされたおかげでぐっすりとは眠れなくなっている。
 ふと気づくと鳥の鳴き声。
 えっ、鳥が鳴いているってことはもう夜が明ける?

 慌ててフリースをひっかけてリビングに行くと、まだ真っ暗な中でパパが暖炉に薪をくべていた。
 「あれ? 鳥の声は?」
 「いつ気が付くかと思って」
 鳥の声はCDだった。ツリーハウスに置いてあった野鳥の鳴き声を集めたCDをパパが聞いていただけだった。
 むかつく~。




 日の出はそれからおよそ30分後の朝6時頃。
 いやいや正確には日の出ではなく空が白み始めるのが。
 それはもう、夕暮れ刻に勝るとも劣らないものすごい空の色だった。
 暗いところの青さと、赤く燃え始めた地平線と、あまりにもクリアーで純粋で力強く真っ直ぐな。
 太陽はまだ地平線の下にあるはずなのに、太陽の位置がはっきりと判る。放射線状に光が出ているから。
 オレンジとピンクがディープブルーを駆逐して広がった。二つの色が交わる境は虹色になる。
 この空の色をなんと例えれば良いものか。





3-2ローズガムズの野鳥たちへ続く


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