18.嵐に追いつかれる前に
こんな調子でダンク島のイメージは灰色のまま終わってしまった。
船が島を離れると、ほんの僅かに青空がのぞき、それから沖の方から真っ黒な雲が近づいてきた。
「見て、あの雲の下、スコールだ」
それもさっきのようなショートスコールじゃなくて大嵐という感じ。
嵐はダンク島に近づき、島をすっぽりと包み込んだ。
ああ危なかった。
危機一髪、からくも島から脱出できた。
島は今頃バケツをひっくり返したような雨が降っているに違いない。
レナがまたぐずぐず言い始めた。
それを聞いてカナが、「お魚、見せてあげるよ、いい方法を考えついたんだ」とお姉ちゃんらしいことを言った。
「どうするの? 何か工作するの?」
「ひみつ、ひみつ」
疲れた疲れたと言っていたレナは、膝の上によじ登ってくると、ついに寝付いてしまった。
揺れる船がゆりかごがわり。
ああ、今日は一日ほとんど青空を見ることがなかった。
ダンク島のいいところが見つけられなかったのが一番の後悔。
もしかしたらダンク島はあまり子連れ向きじゃないのかな。
大人だけならジェットスキーをするとか、パラセーリングをするとか、いろいろウォータースポーツを楽しむことができるだろうから。
仕方ない。リベンジ計画を練ろう。
次回はベダラ島とセットにするのはどうだろう。
来年、もう一度・・・。
カナとパパは手すりに掴まって、暗い海をずっと見つめていた。