11.ロラリーの傘
5時45分を回って、雨はやむどころか益々激しくなっていた。
土砂降りもいいところ。
駐車場までも行けやしない。
どうするよ。
パパが意を決して傘を借りるため管理棟に電話した。
しばらくするとロラリーがゴルフなんかで使うような大きな傘を差して階段を上ってきた。
「これを使って」
「ありがとう」
でも傘、一本しかなくて、ロラリーはどうやって管理棟まで戻るの?
「素敵なディナーをね」
にっこり微笑むとロラリーは、傘無しで階段を下りていった。
あっと言う間にずぶぬれになるロラリーを見送って、
「やっぱりオージーって親切だよね」とパパと私。