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ケアンズの南を目指せ **ビーチ&ファームステイ**

19.ワニがファンタスティック




 長いナイトツアーも終わりに近づいてきたようだ。
 流石に夜のクルーズはきついのか、レナがうとうとし始めた。
 膝に顔をうずめて目をつぶっている。
 また誰かがクロコダイルを見つけた。
 船がマングローブの枝を折りながら接岸する。
 さっき何とか野生のクロコダイルを見ることができたし、レナが寝付いてしまったら動かさない方がいいから、今度は見なくてもいいかなと思った。
 ところが
 「ファンタスティック!!」と誰か女性客が声を上げた。
 ファ、ファンタスティック?
 ワニがファンタスティック?
 どうしても見たくなっちゃったじゃないか。
 なにがどうファンタスティックなのか。
 レナを抱きかかえたまま船の後部に行くと、これまたさっきのよりは心持ち大きいという程度の小さなワニが、まるで置物のように45度の角度で口を開けていた。 


ぱっくりと開いていた口が、フラッシュの光でぴたっと閉じた


 レナも移動させられたので目を開けた。
 一度はっきりとクロコダイルを見つけると、コツが判ってだんだん判るようになる。
 カナもレナも今度もはっきり見ることができた。
 何度かフラッシュが焚かれると、クロコダイルは驚いたようにぴたっと口を閉じた。
 動かないように見えてもちゃんと生きているんだな。
 夜の川でちゃんと生活してるんだな。
 大人もみんな子供みたいに真剣に暗闇の中のワニを探して、面白いツアーだった。
 ワイルドでいい加減な感じだけど、それだけに夜の大自然を身近に感じた。
 ボートが最初に出発した船着き場に戻ると、夕刻には何人も見物客のいたそこもすっかり静まり返って綾目もわかたぬ闇になっていた。
 ガイドが一人ずつ降ろしてくれる。
 すっかり熟睡してしまったレナを抱きかかえているので足下がおぼつかない。
 石に躓きそうになった。
 「大丈夫?」
 「大丈夫」
 ガイドがレナを見て、「すっかり寝ちゃったね」と言った。
 「グッバイ」
 「バイバイ」
 三々五々、車に乗り、それぞれの泊まる場所へ。

 今日の話はこれでおしまい。




8-1.小さなヤモリとその絵のこと


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