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ケアンズの南を目指せ **ビーチ&ファームステイ**

16.クロコダイルを探せ




 ポートダグラスの川クルーズ、レディダグラス号に乗ったときは、夕方の日差しの中でクロコダイルや野生動物を探して、最後に湾内で日没を楽しみ、それで終わりだった。
 ところがミッションビーチのクロコダイル・スポッティングは日が落ちて、夜がやってきて、それからがツアーの本番。
 何をするのかというと、とにかくクロコダイルを探すのだ。
 ボートの両端にライトが乗せてあった。
 それぞれ両端にいる客にそのライトが渡された。
 船はゴゴゴとエンジンを鳴らして走り出した。
 ライトを持った二人は岸を慎重に照らす。
 さらにガイドはもう二つ、大きな懐中電灯を出すと、それも配った。
 私の手にはライトは無かったので、他人が照らす光の筋を追うことにした。
 照らされるのはどこまでも不気味なマングローブの茂みばかり。
 どこにクロコダイルがいるんだろう・・・。

 辺りの景色は飛ぶように過ぎ去っていく。
 こんなに船のスピードが速かったら、とても見つけられないんじゃないかと思った。
 誰かが「ここだ」と叫んだ。
 みんながいっせいに声のした方を振り向いた。
 どこ?
 何も見えない。
 ガイドは船をターンさせ、見つけた客にクロコダイルがいたと思われる方向をライトで指してもらった。
 指された方角に船がゆっくり近づく。
 えっ、判らない。
 結局みんな判らなかったようで、しばらく辺りをうろうろした末、ボートはまた出発した。

 次に「クロコダイルだ」と見つけたのは若いカップルの男の人だった。
 慎重にボートがマングローブに近づく。
 「あの辺だ」と彼はライトをぐるぐると回してみせた。
 ガイドがしげみを覗き込んだ。
 「どこ?」
 見つけた男性は身振り手振りで「やつは水に飛び込んじゃった」と表現した。
 「今までそこにいたんだ」

 ようやくツアーの仕組みが判ってきた。
 クロコダイル・スポッティングとは本当にライトで夜の水面を照らしながらただひたすら野生のクロコダイルを探すツアーだった。
 しかもガイドが見つけるのではなく、客が自分で探すのだ。
 何だかおかしなツアー。 




 ライトは順番に交替で持った。
 パパも見つけた。
 「そこ!!」
 えっ、どこ?
 もう全然判らないよ。
 何度目かにガイドもちゃんと示されたクロコダイルを確認できて、あそこだと残りの客にも教えてくれるのだが、何しろ暗いし、何を頼りに探して良いのか判らないので自分にも子供たちにもさっぱりクロコダイルが見えない。
 このまま最後までクロコダイルが見つからないんじゃないかと焦燥感を感じ始めた。




7-17.見失う


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