15.日暮れに襲い来るもの
このツアーはバーベキューディナー付きなのだが、いったいどこでバーベキューするのだろうとパパはいぶかしんでいた。
どこか岸に上がるのだろうかと思っていたら、なんといきなり船上で焼き始めたのにはびっくり。
運転席は船の後方に付いている。
運転席の隣のごく狭いスペースで、金髪のガイドがジュージューと肉を焼き始めた。
そういえば釣り用にレンタルできるポンツーンボートにはバーベキュー設備がついていると書いてあった。あれはきっとこういう船なんだろう。
肉が焼き上がると、折り畳み式のテーブルの上にパンや総菜が並べられた。
おのおのプラスチックの使い捨てトレイに自分で好きなものを入れればいいらしい。この総菜、タリーあたりのスーパーで買ってきたものらしく、タッパーにはスーパーの名前と値段の付いたラベルがそのまま貼ってあった。
「キッズからどうぞ」と正面に座っていたご婦人。
バーベキューの肉は固いので、ツアーを申し込むときにウォンガリンガのウェンディが「子供にはソーセージをね」とお願いしたくれたとパパに聞いている。
子供たちのトレイには大きなソーセージが二本乗せられていた。
大人用にはバーベキュー肉とソーセージが一本だった。
固い肉を食べていると、流石に喉が渇いてきた。
仕方なくクーラーボックスを開けて炭酸飲料を一つ取り出すと、パパが「この船にはトイレがないぞ」と一言。
うっ。
レディダグラス号とはそういうところも違うのね。
まだ先は長いし、水分は控えておこう。