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ケアンズの南を目指せ **ビーチ&ファームステイ**

14.マングローブの暗闇に光る目




 ハルリバーの両岸は鬱蒼としたマングローブに覆われている。
 川クルーズでクロコダイル探しということで、自分はポートダグラスで乗った蒸気船レディダグラス号のツアーのようなものを想像していた。
 でも全然違った。
 ちょうど昨日のジョンストンリバー・クロコダイルファームが、ハートレーズ・クロコダイルアドベンチャーズとまるで違ったように。
 このツアーは優雅に川クルーズを楽しむツアーではなく、純粋にひたすらクロコダイルを探すワイルドなツアーだったのだ。

 夕暮れの川面は静かだ。海と違って船はあまり揺れない。
 金髪のガイドは船の舳先に移動してきて、オージー夫妻とぺらぺら話していた。最初は全員相手に軽く観光説明をしていたが、私たちファミリーと若いカップルは話が半分も理解できていないらしいと知って、親しげに質問を繰り返す夫妻の隣に移動してきたものだ。身振り手振りを交えて熱心に話し込んでいる。
 黒髪の方はちらちらと辺りに目を配りながら静かに船を操っている。
 しばらくエンジン音だけが響いていたが、やがて二人のガイドは奥からクーラーボックスとつまみの入ったトレイを出してきた。
 クーラーボックスの蓋を開けて全員唖然としてしまった。
 何種類かの缶ジュースが詰まっていたのだが、シュウェップスだのコーラだの全部が全部同じような炭酸飲料だった。
 サイダーだのレモンフレーバーだのストロングだのダイエットだの、そんなバリエーションで選ぶより、ミネラルウォーターとか紅茶とかコーヒーとかオレンジジュースとかそういう選択肢はまったく無いわけ?
 しかもペットボトルじゃなくて缶入り飲料だから、飲みかけのまま取っておくこともできないし。
 かぶがぶ飲んでいるのはガイドたちばかり。全員同じ気持ちだったのか、ほとんど手は出なかった。
 つまみはクラッカー、チーズ、ソーセージ、酢漬けのオリーブ。
 炭酸飲料よりアルコールがほしい感じ。 


ボートは静かな川面を進んでいく
後方に座っているのがガイドの二人
クラッカーやチーズがおつまみに出された だんだん日暮れが近づいてきた


 ふと、金髪のガイドが黒髪を振り返り、「お前、クロコダイルを見たか?」と聞いた。
 「・・・いや」
 「いただろう、でかいやつが」
 金髪のガイドは、しょうがないなぁと肩をすくめて、黒髪の握っていたハンドルを奪い、船をターンさせた。
 かなり戻っただろうか。
 船をマングローブにくっつくぐらいに岸に寄せた。
 それにしても話に夢中に見えた金髪のガイドはしっかりクロコダイルをチェックしていて、油断無くあたりを見張っていたはずの黒髪のガイドがまったく気づいていなかったとは意外だった。
 乗客はみんな席を立って岸を見つめた。
 いたいた。
 マングローブの奥の暗がりに。
 フラッシュを焚いたら目が赤く光った。
 ガイドが「いい写真撮れた?」と聞いてきたが、暗いし遠いので上手く撮影できた自信がない。
 しかしあんなに奥まったところにいたクロコダイルを発見するなんて、やっぱりプロは違う。
 こっちは目を皿のようにして両岸を見つめているのに、まったく判らなかった。


マングローブの林の奥に光る赤い目を発見
左の画像を拡大してみたけどそれでも判りにくいね





7-15.日暮れに襲い来るもの


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