17.ガレージ? 釣具屋? それともシーフードショップ?
「どうせなら、ミッションビーチのワイナリーも行ってみよう」とパパが言った。
えっ、本当に?
子供たちはもう我慢してくれなさそうだったので、いったん部屋に戻り、大人だけで出かけることにした。
ミッションビーチとウォンガリングビーチを結ぶ唯一の道路、カソワリー・ドライブ沿いに、小さなショッピングセンターのような場所がある。
昨日、ここにフレッシュ・シーフードの看板を見つけて立ち寄ってみたのだが、シャッターが降りて店は閉まっていた。
今日は開いているかもしれないから、まずそこに寄って夕食の食材を仕入れることにしよう。
車を停めて近づいてみると、本当にそこは妙な店だった。
The
Tinnie
Shackと書かれた店はどう見てもガレージ。
外にはボートを並べて売っていて、中には釣り具。どこにシーフードが?
迷っていると店員のお姉さんが「何をお探し?」と声を掛けてくれた。
何だかボートと釣り具という男臭い店内には似つかわしくないような女の人だった。
「シーフードを」
「それならこっちよ」と店の奥に案内され、アイスクリーム売場のような大きな冷凍庫をぱかっと開けてくれる。
中には蟹、海老、烏賊、牡蠣?などがファスナーつきビニールに入れられて凍り付いていた。生ものは無いらしい。
パパは蟹と海老を買った。
店を出て、「あのシーフード、店の人が適当にその辺で釣ってきて売ってるみたいな面白い店だったね。急にお姉さんに声を掛けられてびっくりしちゃった」と言うと、パパは「可愛い声だったなぁ・・・」と上の空の返答。
ハァ?
思わずまじまじと顔を見ると、駄目だこりゃ、パパの目はすっかりハート型になっていた。