7.クロコダイル・レディー
子ワニとパイソンのコーナーに集っていた観光客を引き連れて、クロコダイル・ダンディーばりのスタイルで身を固めた若いお姉さんが園内の案内を始めた。
これぞクロコダイル・レディー?
まだワニのフィーディングタイムまでは30分ある。ついていってみよう。
雲が切れて強い日差しがじりじり照りつける。
わさわさと植物が生い茂るファームは湿度も高くじめついている。
広い通路の両側には高く頑丈な金網で囲われたワニの檻がいくつも続いている。
お姉さんはひとつひとつ丁寧に、ワニの名前やサイズなどを教えてくれる。
ここで一番大きなワニは、全長5.2m、体重1,200キロのグレゴリーだというが、どのワニも巨大で言われなければ見分けがつかない。
彼女は一匹のワニの檻に、上から長い棒を差し込んで、ぽかりとワニを叩いた。
二、三回叩くと、ぴくりとも動かなかったワニがぱくりと口を開けた。
このワニには歯が無い。
おじいさんワニなのか、口の中は真っ平らの岩みたいだった。
さらに棒で口の中を叩くと、コーンと固いプラスチックを叩いたみたいな大きな音がして吃驚した。
ワニの口の中って、あんなに固いのか。