21.ウォンガリンガ・ビーチアパートメント
「ここだ」
椰子の木に囲まれた小綺麗なアパートを見つけた。
入り口の看板にはNo
Vacancy満室とある。
良かった、早めに予約を入れておいて。
レナは今になって熟睡していて、シートベルトを外すとそのまま座席の足下に崩れ落ちてしまった。
仕方がないのでパパが一人で車を降りてチェックインしてくることにした。
やがてオージーにしては小柄な女性が出てきて、パパを伴い部屋へ向かうことになった。
カナもついていくという。
寝ているレナと車の中で待っていると、椰子の木陰をひらひらとユリシスが飛んでいるのが見えた。
しばらくぼーっとしていたら、カナがこけつまろびつ走ってくるのが見えた。
何だかえらく興奮している。
「すごいよ、すごいお部屋だよ!! とっても広くてね、部屋にブランコがあるんだよ」
はぁ?
部屋にブランコ?
庭じゃなくて?
「私ね、気に入った!! ここ気に入ったよ。レナも絶対気に入る!!」
あまりの剣幕に、熟睡していたレナもぼーっと目を開けた。
「・・・ブランコ?」
「おいでよ、レナ、連れていってあげる」
「・・・うん」