20.海へと向かう道
イニスフェイルを出ると、ブルース・ハイウェイを真っ直ぐ南下する。
窓の外の景色は、ただひたすらサトウキビ畑、またはバナナ園。
一直線で眠くなりそうだ。
途中、シルクウッドという小さな町の近くで、左手にビーチ有りの表示とワイナリーの表示が見えた。
ビーチの名前はKurrimine
Beach。
確かミッションビーチの近くにワイナリーがあった気がする。
あそこだろうか、それとも違うんだろうか。
エル・アリッシュで表示に従って左に入る。
ここからは見通しの良くない森の中の道になる。
私たちは海へと向かっているのだ。もうじき水平線が見えるはずだ。
今日はかなり長い時間ドライブしているので、後部座席の子供たちはすっかり退屈している。
レナがぐずぐず言い始めた。
仕方がないので助手席から後部に移動してなだめに入る。
レナはお腹が痛いとか気持ちが悪いとか言って大声で泣き出した。
こういうときは眠れればいいんだけど、そうそう都合良くいかない。
あと少しで着くからと繰り返しているうちにようやく寝付くことができたようだ。
いつかノーザンテリトリーをキャンピングカーで行くような旅がしてみたいけど、こんなじゃまだまだ無理かなぁ。
ミッションビーチはミッションビーチ、ウォンガリングビーチ、サウスミッションビーチの三つのエリアに、ホテル、バックパッカー宿、キャラバンパーク、貸しアパートや一棟建ての貸別荘などが点在している。
私たちが泊まるのは、真ん中のウォンガリングビーチだ。
見上げるほど大きなカソワリーの像が建っているところを曲がって進むと、やがて椰子の木の合間に海が見えてきた。
やっと着いたぞ。
長い道のりだった。
泊まるウォンガリンガ・ビーチアパートメントはどこだろう。
詳しい場所は判らないが、海沿いに南へ進むとすぐにReid
Roadに出た。この通り沿いにあるはずだ。
Reid Roadは海岸から一本入ったところにある道だ。
通りの右手には貸しアパートなどが並び、左手の海と道の間にもときどき建物が見える。
この辺りのビーチは、海の隣にまず道があるところがほとんどで、道より海に近い建物はごく限られている。
私たちはアコモを選ぶときに、海沿いに拘った。
ウォンガリンガは左手の海の前にあるはずだ。