20.ディナーの席にカトラリーいくつ?
また少し雲が増えてきた。
低いところの雲が茜色に染まっている。
この辺りでよく見かける鳥が上空でホバリングしている。餌をとっているのかな。羽だけ羽ばたかせてぴたりと空中でストップしているところはお見事。
6時になったので、母屋の方へ向かった。
夕暮れの高原が黄昏色に変わってきた。
パティオの所に行くと、白いテーブルに四人分のナプキンとカトラリーがセットされていた。
「どうして四つなの?」とカナ。
「パパとママとカナとレナの分でしょ?」とパパ。
カナが不思議に思ったのは、座席は六つあるのにテーブルセットは四つしか無かったことらしい。
しかし、この残る二つの席にもすぐに新たなカトラリーが運ばれることになるとはこのときは思いもしなかった。
それに何故かパティオの隅にチュークが数羽、うろうろしている。
そういえば、鶏の囲いの前を通りかかったとき、入り口が開けっ放しだった。このファームの人たちは、逃げてもあまり気にしないのかもしれない。
しかし子供たちはそうはいかない。
うろうろしている鶏を見つけると、反射的に追い回す。
あっと言う間に、また七面鳥の逃げたクリスマスソングみたいになってしまった。