16.ディナー・フォールズへ
道はだんだん細くなり、下へ下へ下っているようだ。
耳をすませると滝の音が聞こえる。
くねくねと何回か蛇行しながらかなり下ってきた。
たぶん帰りはラウンドして入り口近くで二手に分かれたあの道に戻ることができるのではないかと思っているが、実はディナーフォールズに行く道ではなく別のトレッキングコースだったり、道に迷って引き返せなくなることだけが心配だった。
道がところどころ分かれている。
気の短い観光客が適当にショートカットしているうちに獣道みたいな枝道がいくつもできてしまったようで紛らわしいことこのうえない。
まあ、とにかく下へ降りていけば川沿いに出るだろう。
音が聞こえているから川まで行けばどちらかに滝が見えるに違いない。
いい加減な性格だよね。
最後の方はかなり急で、木の根が階段状になっていた。
木立の向こうに川が見えた。
ここはキュランダへ向かうスカイレールや観光鉄道からからも見えるバロン川の上流になる。
川沿いに出ると、オージーの若者二人が互いに滝をバックに写真を撮りあっていた。
それほど大きな滝ではない。
三つぐらいの筋になって落ちている。
アサートンテーブルランドで最もフォトジェニックな滝と言われる
ミラミラ滝ですらパパは散々なことを言っていたのだ。彼を連れてこなくて良かった。