13.牛の赤ちゃんにミルクをあげる
母屋の前には囲いがあり、通る度に白い犬が威勢良く吠える。
その隣は鶏の柵だ。かなり広いスペースに放し飼いになっている。
シンディとキッズとカナはそのまた奥へ向かった。出遅れたレナは必死で走って後を追う。
雨はやんでいるが、道はぬかるんでいる。
柵の中に二頭の子牛が居た。
確かにまだ小さい。レナの半分ほどしか背丈がない。白黒のぶちのあるホルスタインだ。
シンディはこうやってあげるのよ、と実演して見せてくれた。
取っ手の付いたプラスチックのミルクボトルには大きなゴムの乳首が付いている。これを子牛の鼻先に持っていってやると食いついてごくごくと飲み始める。
「どう?」と、ボトルを渡されるが、何しろ赤ちゃんとはいっても力が強い。ボトルもなみなみとミルクが入っていて重いので、カナとレナは二人がかりで飲ませることにした。それでも子牛がぐいぐいと押してくると二人はじりじりと後ろに下がる。
子牛が下へボトルの口を引っ張るので、つられて二人もしゃがみ込む。そうすると今度は乳首が下がりすぎて子牛は飲みにくそうだ。
見ているのと自分でやるのは大違い。なかなか子供たちには難しそうだった。
シンディはもう一頭の子牛のために、ミルクのおかわりを持ってきた。
それから餌もやる。
餌箱から一掴み取り出し、子牛の口元に持っていくと子牛はよだれだらけの口でそれを食べた。
流石にカナもレナもそれはちょっと引いていた。
パパがシンディのやったとおり、餌をやってみせてくれた。
結果、彼の手の平は子牛のよだれでべたべたになってしまった。
まさかいきなりこんな体験をさせてくれると思わなかったので、自分もサンダルしか持参していなかった。
足下はぬかるんでいるし、加えて牛舎の中は牛の●●だらけ。サンダルもジーパンも子供たちの運動靴も凄いことになりそうだ。