5.クリスタル・ケーブス
クリスタル・ケーブスというのは人工の洞窟をヘッドランプ付きヘルメットを被って探索するというアトラクション。あちらこちらに本物の水晶を埋め込んであるらしい。
パパがアサートンの何処にあるか知ってるか?と聞く。
うーん。地図を見てもよく判らない。町外れじゃないかと思うんだけど、と私。
「銀行に行くとき見つけた。本当にここに洞窟が? と思うくらい思いっきり町の真ん中」
そうなのー?
中心街のアーケードの中に他の店舗に紛れるように確かに「Fascinating
Facets Underground Crystal Caves
Museum」の看板が。
ここってミュージアムだったのか。
子供たちに「ここどこ? 何するの?」と聞かれて、宝石の洞窟を探検するんだよと答えておいた。
中に入ると、天井にファンが回りアクセサリー屋のような半貴石を加工したグッズの並ぶスペースがあった。
その奥に受付台が見え、怪しい洞窟の入り口が見えている。洞窟の右手にも小さな部屋があり、紫水晶の沢山置かれた台があったが、子供たちが興味津々で入ろうとしたら店員がすかさず「お子さま立入禁止」の札を置いた。
受付を済ませると、係りのお姉さんは一人一つずつヘッドランプのついた赤いヘルメットを渡してくれた。ぎりぎりと後ろのダイヤルでサイズを調節できるようになっている。私のはいまいちサイズが合わず、一番締め付けてもすぐに頭から落ちるので、片手で押さえながら洞窟を潜ることにした。
入り口は本当に暗い。
奥の方に少し灯りが見えるが、自分のヘッドランプだけが頼りだ。
しかも天井が低くなっていてヘルメットがごつんとぶつかった。
もちろん痛くない。触ってみると洞窟の素材は発泡スチロールのように柔らかかった。