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ケアンズの南を目指せ **ビーチ&ファームステイ**

11.再び最後尾の席に泣く




 キッズ用アメニティは帰路もよく判らないキャラクターだった。
 往路でもらったThe Wigglesグッズも馴染みが無くてよく判らなかったが、今回のDogs Lifeも知らない。
 でも絵柄はなかなか可愛い。絵を描いたり消したりできるシートがついていたので、レナは早速これで遊び始めた。
 キッズミールもまあまあすぐに出てきて、不自由しなかった。
 眠かった往路と違い、子供たちも今度は食べた。 


帰路でもらったカンタスの子供用アメニティのキット 早速レナが描いてみました
頼むから成田に着くまで機嫌良くしててね
チャイルドミール 帰路はカナもレナも同じプレートだった
スプーンとフォークとナイフが凝っていて可愛い では、いただきま~す


 問題は大人の食事だった。
 前方の席からゆっくりゆっくり配られる。
 今回は一番後ろの席にいたパパだけ先に配ってもらえた往路と違い、イレギュラーは無くただひたすら前から配り始めた。
 しかもやっぱり右側が最後なのだ。左側も真ん中もとっくに配り終えている。
 お腹は空くし、前方もサイドも既にかちゃかちゃと食事の音が響いていて惨めなことこの上ない。
 今回のメニューはビーフが洋風、チキンが和風だった。
 当然ビーフを頼むつもりだった。和風の食事なんて日本に帰ればいくらでも食べられる。ほんのちょっとでもオーストラリアらしいものが食べたかった。
 ようやく私たちのすぐ前の席で「ビーフ? チキン?」と聞いている声が聞こえてきた。
 あと少しだ。
 そして・・・
 今回も私は何も聞かれないまま、いきなりぽんとトレイが置かれた。
 「ビーフ?」
 「ノー」
 「ビーフは?」
 終わっちゃったというようにスチュワードは肩をすくめて見せた。
 うそっ。
 大ショック。
 だって私たちのひとつ前の席まではあったよ。
 行きも帰りも希望を聞いてもらえなかったのは私だけ?
 酷いじゃない。
 「飲み物は?」
 「白ワイン」
 「ノー」
 思わず顔を見上げた私にスチュワードは
 「ジョーク、ジョーク」と白ワインを差し出した。
 そんなつまんないジョーク、全然笑えないよー。
 思わず落涙した私を見て、パパはばかじゃないと呆れた。
 だってさ、こんなのあんまりだよ。
 そりゃメニューは希望に添えないこともありますとあるけど、さんざん待たせたあげく、行きも帰りもこの仕打ち?
 おまけに最後尾はリクライニングできないので、リクライニングしない子供たちを並べて座らせ、大人はもう一つ前の席に陣取ったのに、窓側の席はいくら押してもリクライニング装置が壊れているらしく席は倒せなかった。
 もう二度とカンタスなんて乗ってやるか。
 少なくとも絶対最後尾は嫌だ。
 座席リクエストができればね、とパパはつまらなそうに言った。
 チケットはパパの会社の福利厚生費の関係で、指定された旅行会社を通じて手配した。
 悔しい。
 来年は何が何でも座席に拘ってやる。
 もうこんなに惨めな思いをするのは嫌だ。

 やけになったのでやけ酒を飲むことにした。
 食事につけてもらった白ワインをがぶがぶ飲んで、後ろのギャレーにお代わりをもらいに行った。カンタスはエコノミーでも飲み放題だ。
 「白ワインちょうだい」
 スチュワードが冷蔵庫を開けてワインの瓶を渡してくれた。
 そのとき後ろを振り向いて客室乗務員用に別に取ってある食事のトレイを見つけてしまった。
 ビーフだ。
 ちぇっ。お客さんの希望より自分たちの希望が優先なんだ・・・と思うと益々やりきれない気分。

 そして、高い山の上や飛行機の中では気圧の関係で酔いやすいということを忘れて、一気にがぶがぶ飲んだらすっかり酔いが回ってしまった。
 うう。
 気持ち悪い。


大人用の機内食・・・もう多くは語りたくない・・・





11-12.機内はトラブルだらけ


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