8.爆発物じゃなくてアンザッククッキーだよ
スーツケースを預けるときに重量を量ったら40キロジャスト。
危ない危ない。
制限重量はいくらだっけ。
自炊するのに買って余った油だのお米だのみんな持ってきたからなぁ。
出国審査も日本人で行列していたが、係員のお兄さんは私たち一家のパスポートをぺらぺら捲って、にっこり。
「そんなにオーストラリアが気に入ってくれたんだ」
なにしろ家族四人、毎年毎年オーストラリアの出入国記録しかないのだから。
そしてポンとスタンプを押してくれた。
「来年もまた来るよ」
そして手荷物検査。
ポケットにも何も入れてないし楽勝楽勝と思ったけれど、いきなり私は指を差されて隅の方へ連れて行かれた。
えっ? 何かまずい荷物があった?
持っているパソコンが怪しそうとか?
怖そうな顔をした係りのお姉さんが日本語の説明書を差し出した。
なになに・・・?
あなたは爆発物を持ち込んでいないか調べるための検査に無作為に選ばれました。
ホッ。無作為なのね。
怪しいもの持ってないから、どうぞ好きなだけ検査して。
お姉さんは無言で検査用のバーを荷物の中に突っ込んでかき回した。
火薬の反応とかが判る装置なんだろうか。
いやぁ、ドキドキしちゃうなぁ。
パパの持っていた黒い旅行鞄も調べられた。
それって中身は全部アンザッククッキーなんだけどね。