10.まさかバルコニーで?
午後の予定は決まっていた。
マッサージを依頼していたのだ。
申し込んだとき、管理人のロラリーは「お子さんたちはプールで遊ばせればいいわよ。ママはリラックスしてきて」と言っていた。
てっきり有名なアンサナなどのスパのように、どこか専用の場所があるのかと思っていたが、パパに車で送迎してもらおうと思って場所を聞いたら、ロラリー曰く、
「あら、ここに来てもらうのよ」
えっ、出張マッサージだったんですかい。
あはは知らなかった。
なので当然ベッドルームを使うものと思い、パパが綺麗にベッドメイクもしておいてくれた。
ところが・・・。
部屋に戻って1時半。
マッサージを依頼した2時まであと30分しかない。
大慌てでシャワーを浴びた。
服はどうするのかな・・・。
何か専用のガウンみたいなのでも着用するんだろうか。まあいいや、とりあえず適当な服を着ておこう・・・と何も知らない私。
1時45分頃ドアがノックされて、
「ハロー」と入ってきたのは、ちょっとアジアンテイストなウェアを身につけた綺麗なお姉さんだった。
「えーと、バルコニーでいいかしら」
え?
何か重そうなものを下げている。
バルコニー移動した彼女のその手提げから出てきたものは、折り畳み式のベッドだった。
うわぁ、こんなに大きいものを女性一人で持ち歩いているんだ。
と、いうより、えっ? バルコニー?
彼女はバルコニーの中央にベッドを備え付け、それから少し考えて日陰にベッドを移動させた。
いつの間にか空はいい天気になっていて、「そこはちょっとHotだから」と彼女は言った。
た、確かに薄暗いベッドルームじゃあまり雰囲気でないけど、まさかバルコニーでやるとはヤラレタ。