7.ボール地獄
食後はあと一つずつライドに乗って良いとパパは言った。
カナもレナも悩む悩む。
こういうときカナは、悩みすぎて、もう乗らなくていいとか言い出す。
真に受けて乗らせないと、1時間以上泣きながら愚痴るのでとにかく一つ決めろと言った。
レナはMad
Carという、ぐるぐるぶつかり合うゴーカートを選んだ。マリーバのロデオ大会で乗ったのと同じだ。
あれを覚えていて、もう一度乗りたいと言う。
あれなら大人も楽しめるけど、乗ったことのない乗り物じゃなくてもいいの?
またカナはパパと、レナはママと組んだ。
シートベルトをまわしてGO。
スピードを出してぎゅうんと回り、パパたちの後ろにどしんとぶつけてやれ。
カナもまた、
マリーバからずっと気になっていたものを選んだ。
サーカスの飾り付けをした、迷路と障害物がセットになっているような小屋だ。
入り口で機械仕掛けのピエロが体を振りながら笑い声を立てている。
本当にこれでいいの?
いい。
問題はレナ。
怖くて入れない。
カナはさっさと入り口を入っていったが、切符を買ったにも関わらずレナは足がすくんで戻ってきた。
「やっぱり嫌だ」
嫌なのはいいが(よくないか)、これまたさっきのカナじゃないが、怖いけれど本当は行きたいのだ。
だから無理に行かせれば大泣きするし、諦めさせれば後々まで愚痴愚痴と言う。
難しいところ。
説得してみることにした。
「怖くないよ。お姉ちゃんもついているし、絶対今行かないと、後でやっぱり行きたかったって言うことになるよ」
何度か戻ってきたが、最後には階段を上って入り口から消えた。