ポートダグラス楽園日誌2004 8-7


7.ボール地獄

 食後はあと一つずつライドに乗って良いとパパは言った。
 カナもレナも悩む悩む。
 こういうときカナは、悩みすぎて、もう乗らなくていいとか言い出す。
 真に受けて乗らせないと、1時間以上泣きながら愚痴るのでとにかく一つ決めろと言った。

 レナはMad Carという、ぐるぐるぶつかり合うゴーカートを選んだ。マリーバのロデオ大会で乗ったのと同じだ。
 あれを覚えていて、もう一度乗りたいと言う。
 あれなら大人も楽しめるけど、乗ったことのない乗り物じゃなくてもいいの?
 またカナはパパと、レナはママと組んだ。
 シートベルトをまわしてGO。
 スピードを出してぎゅうんと回り、パパたちの後ろにどしんとぶつけてやれ。

 カナもまた、マリーバからずっと気になっていたものを選んだ。
 サーカスの飾り付けをした、迷路と障害物がセットになっているような小屋だ。
 入り口で機械仕掛けのピエロが体を振りながら笑い声を立てている。
 本当にこれでいいの?
 いい。
 問題はレナ。
 怖くて入れない。
 カナはさっさと入り口を入っていったが、切符を買ったにも関わらずレナは足がすくんで戻ってきた。
 「やっぱり嫌だ」
 嫌なのはいいが(よくないか)、これまたさっきのカナじゃないが、怖いけれど本当は行きたいのだ。
 だから無理に行かせれば大泣きするし、諦めさせれば後々まで愚痴愚痴と言う。
 難しいところ。
 説得してみることにした。
 「怖くないよ。お姉ちゃんもついているし、絶対今行かないと、後でやっぱり行きたかったって言うことになるよ」
 何度か戻ってきたが、最後には階段を上って入り口から消えた。


マリーバ・ロデオ大会でも乗ったお気に入りのMad Car

入り口で機械仕掛けのピエロが笑っている。オモシロイところか、オソロシイところか、これだけでは判別がつかない。

不安げなレナ・・・



 ・・・。

 最初の難関はボール部屋。
 よくマクドナルドの屋外遊具などにある、プラスチックのカラフルなボールがぎっしり詰め込まれている部屋だ。
 カナはひょいひょいとクリアして次へ進んだが、レナはすっぽりはまったまま身動きがとれない。
 だから嫌だったんだとばかり大声で泣き始めた。
 カナが妹を救出に戻ってきた。
 腕をつかんでひっぱり出そうと努力する。
 一部始終は金網越しに外からも見えていた。
 だけど腰までボールの海に沈んだレナはなかなか進めない。
 助けて助けてと泣きわめく。
 仕方ないので母が救出に行くことにした。
 切符を持っていないが、ボール部屋で娘を助けたら入り口に戻ってくれば許してくれるだろう。
 じぐざぐの階段を下りるとすぐ、そのボール地獄だった。
 足を入れると体重でずぶっと沈んだ。ボールが硬いのでかなり痛い。
 泣いているレナのところまでなんとか進み、レナを部屋の出口まで押し上げる。
 そこではカナが待っていて、レナを受け取ってくれた。
 子供たちは手に手を取って先へ進む。
 ボールの海に沈んだ母は、力つきてなかなか入り口に戻れない。
 ・・・何だかとっても間抜けな格好だ。

 全て終えて、揃って笑顔で出口から出てきた娘たちはそれで満足したようだった。


蟻地獄ならぬボール地獄




8-8.ケアンズのシーフード・マーケットへ続く


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