8.ネットのスペシャリスト参上
実は3時半になったらOn the
inletというシーフードレストランに行こうと思っていた。このレストランでは3時半から5時半までサンセットスペシャルと称して、バケツ一杯の茹でエビか生ガキにワインが付いて16.50ドルで食べることができる。
パパはスペシャリストが来て3時半までに片が付かなかったらレストランは諦めようと言った。
まさか助っ人を部屋に呼ぶことになるとは思わなかった。
予想外の展開。
間に合うのか。
3時15分に部屋のドアがノックされた。
入ってきたがたいの大きなオージーは、ホテルの回線担当者と言うより、マニアックな労働者といった風情だった。
あちこちペンキの付いた作業着を着ていて、さっきまで肉体労働にはげんでいたらしい。
パソコンを見せて、回線が繋がらない様子を実演して見せたが、何しろ画面の表示は全て日本語だ。
繋がらないときに聞こえるあの妙な音を聞いてもらえば原因が判るのではないかと思ったが、これもさっぱり判らないらしい。
ホテルなどから外線に発信するときは最初にゼロがつくので、交換が繋がるタイミングを計るために、ダイヤルゼロの後にカンマをいくつか挿入する方法は一般的だが、これを入れているかと聞かれた。
入れたり外したり、一つから増やして5つぐらいまでいろいろ試したけど駄目だったと説明する。それに初日に一度きり繋がったときは、たまたまカンマ無しで試したときだった。
アクセスポイントはどこかと聞かれて、
ケアンズと答えると、ディスタンスだと言われた。ケアンズでディスタンスと言われても・・・。
「
ポートダグラスかモスマンは無いか?」
ニフティで使えるローミング先のアクセスポイントを全部見たが、ケアンズより近い場所は全くない。ディスタンスだとそんなにも繋がらないものなのだろうか。
「ジャパニーズ?」
「イエス」
すると彼は腰につけていた携帯でどこかに電話した。パパが替わると、受話器から日本語が聞こえた。通訳を頼んだようだ。
電話の向こうの彼女とパパは少し話したが、相手は日本語は分かるがネットのことはさっぱりらしい。三者三様に、いやいや私も入れて四者四様に判ること判らないことが交錯している。
電話に出てくれたのはリッジスで働いているYさん。ハウスキーパーが本職だ。通訳がわりなど頼んで恐縮。
リッジスでは昼間は交換台を通すが、夜は自動で外線と繋がるので夜なら繋がるかもしれない、とアドバイスを頂いたが、こちとら昼も夜も試して駄目だった。
どうもお手上げらしい。
ありがとうとチップを渡して、スペシャリストにはお帰り頂いた。
Lさんからはその後どうなったかと確認の電話があったが、パパはおかげさまで問題は解決したと返答した。
これだけ手を尽くしても繋がらなかったのだ。
今年も断念。
あーあ。
私たちが接続のことであれやこれや試している間、子供たちは庭で遊んでいた。
落ちて割れている椰子の実の中に、草や木の実を入れておままごとをしていた。
見て見てと手を引かれて庭に出てみれば、美味しそうな椰子の実ご飯ができていた。