ポートダグラス楽園日誌2004 5-4
4.子供たちのお買い物
他にもいろいろあるから、とにかく全部見てから決めようと即しても、カナはなかなかその場を離れなかった。
離れなかっただけじゃない。次の店に行っても、その次の店に行っても、すぐに最初の店に戻りたいとぐずぐず言う始末。
彼女はこれと決めると決して変えないのだ。
それは一見、良いことのように思われるかもしれないが、どうみてもつまらない物でも一度決めると頑固に変えないし、結局大した物じゃなくて手に入れたらそれっきりということもしばしばだ。
毎回それを見ている親としては、何度失敗しても懲りないやつと嘆息ものだ。
マーケットを半分ぐらい見て回ったが、カナの態度が硬化したままなので最初の店に戻ることにした。
まあ、約束の20ドル以内だし、他にもっと良い物がみつかるかもしれないという他は、特に問題もない。
そんなにほしいなら、最初の買い物はこの宝箱にしよう。
妹のレナは、常に姉と同じ物をほしがって喧嘩になるから、レナも同じ箱を買おう。
自分たちで品物とお金を持って、売っているおじさんのところへ。
さて浴衣の人気は上々だった。
男性はあまり気に留めないようだ。
若い女性や子供を連れた母親たちは、気になるもののじろじろ見つめるのは失礼だと思うのか、ちらっちらっとすれ違いざまに見て行くだけだが、そうした母親に手を引かれたカナやレナぐらいの女の子やティーンエイジャーになると、もう気になるものは気になると言わんばかり、すれ違っても後ろを振り向いて、食い入るように見ている。
もっと凄いのは年輩の女性たちだ。
40代から60過ぎぐらいまでの女性たちは、必ず呼び止める。それも子供たちではなく連れている親を。
そして「プリティ」、「キュート」を連発し、「サンキュ」だけで去ろうとする我々を放さず、「ねぇ、判っているの? ほんっとうにこの子たちは可愛いわ」と熱心に話しかける。
もう何人に呼び止められただろう。
「キモノ?」
「ノー、ユカタ」と答えるパパに
「キモノでもいいんじゃない? キモノには違いないし」と言うと、次から彼は
「キモノ、サマーバージョン」と答え始めた。
次に子供たちが気になったのはビーズアクセサリー屋だった。
10ドルも出せばちょっと気の利いたネックレスもあるが、財布にはもう8ドルしか残っていない。
それぞれ1ドルの指輪をひとつ買った。
さっきの宝箱に入れるつもりだという。
残り7ドル。
気温が上がってのどが渇いたので、パパがオレンジジュースを飲むかいと誘った。
ミニチュアのカーテンフィグツリーみたいな木の下で、去年と同じように絞りたてのオレンジジュースを売っている。
二人組で、一人がオレンジを切って、もう一人がつぶす。手際よくあっという間にフレッシュジュースになる。
Sサイズのカップがひとつ2ドル。
カナは手持ちの7ドルから出さなくてはいけないのかとちょっと迷ったが、パパが「これはパパのおごり」と言った。
去年もここで絞り立てのオレンジジュースを飲んだ
ジュース代は、パパのおごり