ポートダグラス楽園日誌2004 3-10


10.ゴンドラであげる雄叫び

 カナとレナは遊園地の乗り物を待つ気分だ。
 係りの人が誘導してくれる。
 ゴンドラのドアは自動開閉。
 中は6人乗りで広々としていた。

 蓮の池の上空を渡り、それから山に沿って高度を上げる。
 眼下は手つかずの熱帯雨林だ。
 はじめは乾いた幹の白いユーカリ林。それから徐々に緑が濃くなる。羊歯がコンパスで書いたように完璧な同心円状に葉を広げている。
 やがて視界がせり上がり、水平線が見えてきた。
 パッチワークのような区画された農地の向こうに、水色のコーラルシー。

 前に乗ったときは天気が悪かった。
 雨期に来たのだから仕方ないが、真下に鬱蒼とした原始の森が広がるばかりで、海も山も何も見えなかった。
 今日は天気がよいのでスカイレールのポスターで見られるような景色が広がっているかなと期待していた。
 本当に遠くまでよく見える。
 こんな日に乗るスカイレールこそ、料金に見合うというものだろう。




 子供たちには飛行機の中では静かにしなさいと言い続けてきた。
 ツアーバスの中やレストランも同様だ。
 ここでは隣のゴンドラまでも離れているし、閉鎖空間の中には迷惑がる人も他にない。
 さあどうぞ、好きなだけ叫んで。
 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 景色を見て感嘆の声を上げているわけではなく、ゴンドラが支柱に近づく度に競い合って声がかれるほど大声を上げる子供たち。
 熱帯雨林だ、コーラルシーだと感激しているのは母ばかりなり。
 子供たちにとってはそこがオーストラリアであることすら関係ないらしいが、とにかく二人とも猛烈にはしゃいでいた。
 何だかちょっとずれているけど、楽しんでくれるならそれでいいか。



3-11.スカイレール、過去の恐怖体験へ続く


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