10.ゴンドラであげる雄叫び
カナとレナは遊園地の乗り物を待つ気分だ。
係りの人が誘導してくれる。
ゴンドラのドアは自動開閉。
中は6人乗りで広々としていた。
蓮の池の上空を渡り、それから山に沿って高度を上げる。
眼下は手つかずの熱帯雨林だ。
はじめは乾いた幹の白いユーカリ林。それから徐々に緑が濃くなる。羊歯がコンパスで書いたように完璧な同心円状に葉を広げている。
やがて視界がせり上がり、水平線が見えてきた。
パッチワークのような区画された農地の向こうに、水色のコーラルシー。
前に乗ったときは天気が悪かった。
雨期に来たのだから仕方ないが、真下に鬱蒼とした原始の森が広がるばかりで、海も山も何も見えなかった。
今日は天気がよいので
スカイレールのポスターで見られるような景色が広がっているかなと期待していた。
本当に遠くまでよく見える。
こんな日に乗るスカイレールこそ、料金に見合うというものだろう。