ポートダグラス楽園日誌2004 1-2
2.成田空港のプレイルーム
成田空港第二ターミナルに到着したのは午後4時過ぎ。まだ4時間以上もある。航空券とホテルだけのツアーだが、一応団体扱いなので旅行代理店の受付を済ませる。
受付中に急にレナが泣き出した。持ってきた小指の先ほどのハム太郎の人形が無いと言っている。
駐車場で自分のリュックからこぼれたので、スーツケースの上に置いたというのだ。気づいていれば回収したものを。もう見つかるわけがない。
わんわんと泣く娘を抱きかかえて、いったん外へ出た。
カナがプランターに咲いているゼラニウムを見つけてレナを呼んだ。ほら、花びらが下に落ちているよ。ピンク色のもあるよ。もう泣かないで。
なかなかどうしてお姉ちゃんらしいカナだ。
5時前にカンタスのチェックインもできた。
面倒だったので二つに分けた荷物のうち、軽い方は手荷物扱いにすることにした。
まあいいか。
カナがターミナル一階の天井にミニーのヘリウム風船が二つ引っかかっているのを見つけた。
ディズニーランドでヘリウム風船を買うときには必ず、「お帰りの際、飛行機には乗りませんよね?」と確認されるはずだ。気圧の関係で飛行機には乗せられないからだ。誰かたぶん外人さんが知らずに購入して、持って帰れないことを知りここで手を離したものか。
一年前はSARS騒ぎでマスクをつけている人も多かった成田空港。
夏休みに入れば、本格的に混み始めるのだろう。
出国審査もさっさと済ませ、本館からシャトルに乗ってサテライトへ移動。
何だかわくわくするらしく、子供たちは各々リュックからサングラスを取り出して掛けてみたり、帽子を被ってみたり。
サテライトに着いたら、カナは子供の遊び場はこっちだよとさっさと歩き出す。へぇー、一年以上前のことなのによく覚えているんだね。方向音痴の母は全然覚えていなかった。
プレイルームは空いていて、金髪の姉弟と中国人らしい女の子の他は子供はいない。
言葉も通じないのに、いつの間にかカナとレナは中国人の女の子と一緒にシーソーしたりして遊んでいる。小さな人形をレナが持っているのを見て、彼女は貸してというそぶりを見せ、レナはしぶしぶ貸した後、「貸しただけだからね」と何度も念を押してその言葉が通じていないことを不思議がっていた。
中国人の女の子が知らない人形を持っているのを見て、彼女の母親が返しなさいとジェスチャーしたが、彼女は嫌々をしてさっと逃げてしまった。けれどレナがべそをかいているのを見て、後を追い、うなだれて人形を差し出した。
言葉が通じなくても通じ合うものはある。そんな風に感じたひとこまだった。
ビデオでバズライトイヤー・帝王ザーグを倒せを見たり、遊具で遊んだりして2、3時間ほど保たせたが、流石に限界だった。
親も交代で免税店など見に行ったが、別にほしい物もない。スウォッチのパワーパフガールズが可愛くて、子供たちに買いたいと思ったくらいだが、カナはもう腕時計を持っているし、レナはすぐ無くしてしまうだろう。
「もうつまんない・・・」とカナが言い出した。
レナも疲れてぐずぐず言っている。
プレイルームは終わりにすることにした。
成田空港第二ターミナルの子供の遊び場、プレイルーム
左から、カナ、レナ、中国人の女の子