子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆ 温度は熱め適温、塩泉なので長湯に注意
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベンチあり
子連れ家族のための温泉ポイント
2022年7月に宿泊して取材させてもらったが、その前から既に民事再生法を申請しているというニュースは出ていた。当時のホテル名は「湯村ホテルB&B」で、そんな時期ではあったが、取材そのものは前向きに歓迎してくれた。
2023年現在はBBHホテルグループの傘下に入り、甲府の湯村温泉旅館協同組合からも抜けてしまったようだ。周辺の湯村温泉の宿が「信玄の湯 湯村温泉」と名乗っているのに対し、このホテルだけは「甲府湯村温泉」を名乗る。厄除け湯めぐり手形も対象外になってしまった。
それはさておき、書くのは実際に私が泊まった湯村ホテルB&B時代の話だ。もしかしたら既に変わってしまった部分があるかもしれないが仕方ない。
甲府の中心部から近く、高速バスのバス停がすぐ向かい、ビジネスホテルでもあるのでシングルルームが多く、女性にも使いやすい。あと昇仙峡にも近い。都市観光にも温泉旅行にも使えてコスパもいい。
それでいて温泉が凄い。さらに夕食は外に食べに行くにも困らないと飯塚玲児さんに教えてもらって、さっそく泊まってみた。そして実際に最高だった。
お風呂は男女別の大浴場のほかに、宿泊者専用のかくし湯(現在は宿泊者専用の貸切風呂になっている)がある。源泉は共通で、大浴場の方が湧出地に近いぶん鮮度も良いとのこと。
もともとかくし湯のある別館の建物は、今図書室やマッサージチェアのあるあたりもお風呂だったそう。宴会に来た人が入れるように。その後いったん全て埋めて、その後今のかくし湯だけ元に戻したという話。
お湯はほぼ透明。淡い石膏みたいな甘いにおい。温度は熱めで顕著なのはその手触り。まるで毛足の短いビロードのような。最初は泡は見えず不思議な手触りだけだったが、そのうちびっしりと泡が肌に付き始め、ビロードの毛足がだんだん伸びてきたように感じる。
露天風呂に移動すれば明るいので泡がお湯の中を漂っているのが見える。
においは淡いが湯口では揮発してくるモール臭に僅かに硫化水素臭も。
ちなみにサウナはあるが水風呂はなかった。
露天風呂は片側に電極があり電気風呂になっている。そんなにビリビリと痛くは無いが、なんで温泉なのに電気風呂を作ったんだろうと思うと、これもまたちゃんと理由があった。
ご主人が若い頃上京していて、目白の銭湯の隣にお住まいだったそうだ。先代が息子の様子を見に来たときにその銭湯を利用して、電気風呂で五十肩が良くなった。それで自身の湯村ホテルにも電気風呂を付けたというエピソード。なるほど温泉に電気風呂で相乗効果も期待できるかも。
浴槽内の泡が多いのも、実は湯口に一工夫ある。もともと水平にカットしてじゃぼじゃぼとお湯が落ちる仕組みだったが、水平だった湯口を三角にカットして、静かにお湯が落ちるようにした。それでガスが抜けないまま湯船に入る用になった。
そもそも元々はタンクでいったん貯めてから浴室の上のフロアから源泉を入れていたが、これもタンクに貯めずに直で入れるように変えた。これでまた鮮度がアップしたもよう。
だから鮮度抜群、泡たっぷりの極上泉は考え抜かれた工夫の上に成り立っているのだ。こんなビジネスホテル、そうはないよ。本当に特別な所だったと思う。経営が替わる前にもう一度行ってみたかった。