子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 湯温は適温、泉質も特に刺激なし
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★☆☆☆☆ 浴室は地下で海は見えない
子連れ家族のための温泉ポイント
湯野浜温泉は亀に発見された温泉とされる。およそ900年前、猟師が海辺で傷ついた亀が傷を癒しているのを見て浜を掘ったところ温泉が湧いたそうだ。奥羽三楽郷のひとつと呼ばれ、賑わってきた。
快晴の秋の日に、月山八合目まで登り庄内平野を見渡した。山の上から景色を堪能した後は、ぜひ海の見える露天風呂に入って、日本海の新鮮な海の幸を頂きたいと思った。しかし…しかしなのである。
湯野浜温泉には愉海亭みやじま(旧ホテル宮嶋)に有名な海の見える露天風呂があるはずだ。だがガイドブックには立ち寄りに関する記載が無い。山の温泉と違って海の温泉は気位が高い。交通の便も良いし美食にも恵まれることから黙っていても客が来る傾向がある。もしかして日帰り入浴は受け付けていないかもしれない。
鶴岡市内を抜けて、クラゲを沢山飼っているという加茂水族館の近くで海にぶつかり北へ折れる。小さな漁港などを見ながら海沿いの道を行けば、ビーチの向こうに聳えるのはランドマーク鳥海山。
湯野浜温泉に着いて、みやじま(宮嶋)はすぐ判った。海に近い目立つ建物だ。入り口の瀟洒な感じに既に気後れ。これは無理そうだなと思いつつロビーで立ち寄りについて伺うと、案の定やっていませんとのこと。その代わり、すぐ後ろに立っているみやじま(宮嶋)の別館、濱福というところで立ち寄り入浴を受け付けているからと聞き、とりあえず行ってみることにした。
ここでのもう一つの目的は美味しい磯料理。
濱福で昼食も取れるか聞いてみたら、これまたご予約のお客様のみですと来た。ダブルパンチだ。
濱福のお風呂は地下だった。
いや、温泉は見晴らしの良い最上階などに汲み上げればたいがい循環などになってしまうのは判っている。それでも見晴らしの良い露天風呂に入りたい日というのはあるのだ(邪道?)。せっかく海に来ているのだから、海の見えるお風呂に入りたいなぁ…。
(ちなみに味囃子濱福は、宿泊すれば愉海亭みやじまの有名な海の見える露天風呂にも入浴できる)。
それはさておき、他に誰も入浴客がいないから貸切状態なのは有難い。男女は入れ替え制らしく、このときは男湯が大浴場、女湯が小さめの檜の湯と祭りの湯の二つとなっていた。とりあえず檜の湯に向かった。この三つの浴室は隣接しているが脱衣所は別だ。
地下なので薄暗い。真昼間だからもう少し採光の良い明るい浴室がいいななどと自分でも文句たらたらだ。こういう旅館だからもしかしたらつまらない循環のお風呂かもしれないと入ったら、案外良いほうに裏切られた。
檜の香りに混じって弱い海水風の臭い。うす甘い塩味。底のほうには白い湯の花がかなり沈んでいる。なかなかどうしてよく温まる湯だ。
女湯が二つあるならもうひとつも入ってみようと、ゴム入りバスタオルで移動してみた。祭りの湯というのは要は圧注浴の装置のついたお風呂だった。浴槽の大きさは檜の湯より少し大きい。こちらは循環仕様でさっさとあがってしまった。
まあ、悪くは無いけどもう一度入りたいと思うほどのお湯ではなかったな。
湯野浜温泉は海水浴場として賑わう場所であるし、鶴岡などの街からのアクセスも良い。何より日本海と鳥海山という非常にロケーション的に恵まれた場所にありながら、そのことを活かしきれていないように思う。
日帰りの入浴客には冷たいし、温泉街の食事どころも飲み屋とラーメン屋ばかりだ。おまけに湯は全て集中管理で、どこの宿に泊まっても無個性に成ってしまう。何かこう、非常にもったいない温泉地だなという印象を受けた。