子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★★☆ 泉質★★★★☆ 塩泉なので長湯に注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★★
子連れ家族のための温泉ポイント
一生に一度は行ってみたい系の温泉ってあるよね。ここはその一つ。須賀原洋行著の『よしえサン』を読んでからずっと。
船でしかアクセスできないので、「庄川峡遊覧船」に乗っていく。おりしも紅葉の季節で、緑の水をたたえる渓谷は鮮やかな錦に染まっていた。
小牧ダムのダム湖ともいえる細く蛇行した湖を船は進み、やがて渓谷に張り付くように建てられた大牧温泉に着く。秘境の秘湯ではあるが、建物の外観も館内も綺麗で居心地が良さそうだ。
さて、大牧温泉のお風呂は、女湯は露天風呂1ヶ所に内湯が2ヶ所(大浴場と中浴場)、男湯は露天風呂2ヶ所に内湯が1ヶ所(大浴場)となっている。
源泉は1本で湖底から湧いている。部屋によっては窓から湧いているのが見える。源泉井戸のプラットフォームがあり、そこからダム湖に向けた直線上に吸い上げきれなかった源泉が泡とともに立ち上ってくる様子がわかる。泡は常に出ているのではなく、激しくなったり沈黙したり。
まずは露天風呂から行ってみた。女湯の露天風呂は一ヵ所だけだが、大牧温泉で一番いい露天風呂を独占しているともいえる。だいたい雑誌のカラー写真なんかで使われるのはここだから。
渓谷の見える紅葉の露天風呂に入りたいと思う人は多いわけで、私が入りに来た時は既に賑わっていた。
お湯は底から泡とともに注入していて、少し温度を下げるための水がホースから出ていた。柔らかいゆで卵臭に薬っぽいにおいがプラス。ふわっとまとうような肌触りは、ゆっくり入っているほどに肌をなめらかに滑るようにしてくれる。
塩化物泉でもあるが、特に肌がちりちりすることもなく穏やかに温まる。お風呂の温度は42.3度ほどでまことに適温。
後から来た若い人と、先に入っていた年配の人が山登りの話で盛り上がっていた。知らない人同士でも共通の話題があるといいね。
四角い露天風呂の先にも実はもう一つ、野ぶろというお風呂がある。暗くなってからだと見つけにくいが、隠れ家のような岩風呂で、43.3度と少し熱め。おひとり様サイズだ。
洞窟のような独占感があり、入ると座ったまま真正面にダム湖が見える。お湯は溢れずパスカル式で排出し、誰かが入ってパイプの水位を超えると湖側の崖から湯気があがるのが面白い。
チェックイン後にいっせいに入りに来た人たちは、ある程度の時間を露天風呂で過ごした後にサーッとそろって上がってしまった。後には自分一人。紅葉を映したダム湖のほとりで、陽が隠れて辺りが徐々に色を失っていくのをただ見ている。
夜には大浴場へ、朝には中浴場と、そしてまた露天風呂に来た。
大浴場の浴槽は3つ。うち2つは一つの浴槽を一部仕切ってあるような造り。このうち大きい方は湯口に近い方が深くなっていて、深い所へ移動すると水圧をずっしりと感じる。
独立した一段上の小さな浴槽は、入ってみると上層は熱めでも中がぬるい。足元なんて水に近い。これは下から山水を入れているそうで、他のお風呂と違ってのぼせずにいつまでも入っていられそう。
内湯ではこのぬるい浴槽が気に入って、ここに入ったり、この浴槽を背にして溢れた湯を背中に浴びたりしていた。
帰りはやはり船でダム湖を行く。だんだん遠ざかる大牧温泉を眺めていると、まさに非日常とはこのような場所であるのだなと改めて実感する。
大牧温泉は宿泊し、取材させていただいたので、お部屋、食事などに関しては、たびハピに寄稿した記事もぜひご覧ください⇒富山県「大牧温泉」宿泊記・アクセス方法は船のみの秘湯!