子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★☆☆ 泉質★★★★☆ 湯温はほぼ適温。黄金の湯は塩分が濃いので長湯に注意。
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッドに使える長椅子あり
子連れ家族のための温泉ポイント
東急目黒線というより目蒲線という名称の方がなじみのある武蔵小山駅から徒歩5分。
大きな商店街入り口のある方ではなく、線路に沿って歩くと、左手の瀟洒な駅ビルとは対照的に、右手には立ち飲み屋や雑草の生い茂る空き地が目に付く。
変形十字路を右に曲がると、すぐに温泉の幟が見えた。
正直なところ、昔からある銭湯だと思っていたので洒落た真新しい外観に驚いた。
こぢんまりとはいているものの、昨今都市郊外にも急速に増えてきたスーパー銭湯にも負けぬ設備。
多種の浴槽、露天風呂、休憩室、岩盤浴まで。
しかも天然温泉はまったく毛色の違うタイプを二種類も楽しめて非常にお得だ。
料金も都内と言う立地や交通の便を考えたら温泉としては破格の450円(当時)。
いや、銭湯は銭湯の料金だからというのは判るが、利用者としてはもう行くしかないというか、あるいはむしろ他人には教えたくないと思うほどだ。
ここで楽しめる二種類の温泉とは、昔からこの辺りに湧く透明感のある薄いコーヒーのような黒湯で重曹系、植物の発酵したような甘い臭いのある美肌の湯と、
最近の都内日帰り温泉に多い、地下深くから汲み上げた塩分たっぷりで透明度が低い黄土色、少し灯油系の臭いのある高濃度の黄金の湯の二つだ。
元々比較的浅い所で湧いている黒湯一本で営業していたのだが、施設を建て替える時にもう一本掘り当て、二種類の温泉を売りにしたものだ。
後から掘り当てた黄金の湯の方は、銭湯で初めて療養泉に認定されたと言う実力派。
内湯は黒湯一辺倒で、露天風呂は黒湯の浴槽と、石段を少し昇った高いところに黄金の湯の浴槽と両方ある。
先に黄金の湯から入ってみた。
都内の温泉銭湯でありながら、掛け流しという贅沢な利用法をしている。
きしつくような滑るような相反する手触りで、はっきりとした油の臭いがする。それほど熱くは無いのにとても温まる。
黒湯の方も入り比べてみる。
こちらはすっきりさっぱりとした感じで、つるつるとする感触がある。何よりモール泉らしい臭いがいい。循環しているのは少し残念だが、黒湯の良さは活かされている。
二種類入れるのが嬉しくて、何度も浴槽を往復してしまった。
何故かリゾートホテル風のチェアなど置いてあるのでここで涼んだりした。
大きな台風が爪痕を残して過ぎ去った後で、とぷんとお湯に首までつかると、湯面に抜けるような真っ青な空が映っていた。
僅かに浮かぶ白雲は速い風に流されていく。
夏の名残りを惜しむように赤とんぼが葉を揺らし、迷いのないラインを描いて屋根の向こうに消えていった。