子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 湯はぬるめの浴槽も
- 設備★★★★★ 雰囲気★☆☆☆☆ 休憩室有り、つぼ湯は親子で入るのにちょうど良いかも
子連れ家族のための温泉ポイント
池袋駅から埼玉方面へ電車で走ること45分。
坂戸駅で東武東上線を東武越生線に乗り換えると、ローカルなワンマン運転の車両で目につくのは学生とハイキング客とおぼしきリュックを背負った人ばかり。
ちょうど今の季節は梅が満開。
越生と言えば関東三大梅林と名高い梅の産地として知られていて、毎年2~3月は梅祭りで賑わう。
さて、私たちが降りる駅は終点越生ではなく、坂戸の隣の一本松駅。
目指す野天風呂蔵の湯 鶴ヶ島店は、一本松駅より徒歩10分強の立地にある。
スーパー銭湯野天風呂蔵の湯チェーンには、この鶴ヶ島店の他に、いるま店、東松山店、
小江戸はつかり温泉と系列が三軒あるが、このうち天然温泉を導入していないいるま店を除いて
足を運んだことがある。
この鶴ヶ島店ももともとは温泉の無いスーパー銭湯だったが、2007年の4月から掘削して掘り当てた温泉を使用するようになった。
入口から入ってすぐに見える休憩室の様子は小江戸はつかり温泉あたりとよく似ている。
暖簾を潜って浴室に向かうと、脱衣所からガラス越しに中庭のような露天風呂が見えた。
お風呂は内風呂に壁伝いに流すアトラクションを加えた双子のような癒しのぬる湯と備長炭水風呂、向かいには端に強弱の電気風呂そして真ん中に北投石を据えた北投石風呂、
スーパー銭湯でよく見る湯腰掛、圧注浴とサウナというラインナップ。
露天風呂の方は底の明るい色の丸い浴槽が目を引き、その奥に隠れるように寝ころび湯、さらに奥に陶製のつぼ湯が二つ並び、つぼ湯の手前には何故かふみ石を敷いた浅いプールのような部分があり、
それが建物の裏の洞窟風呂へ続いている。
露天風呂で一番賑わっていたのは一段高い所にあるかわりの湯と呼ばれる薬草風呂で、桧の浴槽には緑の濁った薬湯がなみなみと注がれていた。
さて、蔵の湯 鶴ヶ島店と言えばつぼ湯の生源泉が有名だが、あいにくと11月から4月中旬にかけては加熱循環仕様になるとのこと。
これが、加熱していないだけの源泉かけ流しならまだしも、非常に温泉らしさの希薄な本当に単なる循環浴槽になってしまっている。誠に残念だ。
温泉を張った浴槽は他にもいくつもあるが、他に掛け流しをうたっているのは源泉打たせ湯と源泉ぬる湯の二つだけで、あろうことか源泉打たせ湯も休止していたので、
やむなく源泉ぬる湯に長湯することとなる。
しかし、この源泉ぬる湯すら、本当の意味での掛け流しではないのだ。やはり加熱のため、内部で循環している(それを掛け流しとわざわざ呼ぶのはやめてほしい)。
とは言っても、たくさんある湯船の中で、確かにこの源泉ぬる湯だけが温泉を主張している。
鮮度感は無く、むしろ澱みを感じる湯で、わずかに緑がかり、茶色っぽい湯の花が漂っている。
感触はきしきしと引っかかるようで、臭いはウイスキーのような発酵した植物臭がごく淡く。
塩泉のちりちり感はあるのにびっくりするほど温まらない。だから逆に長湯をして、中には本当に熟睡してしまった人もいる模様。
ただ、元々の源泉温度が浴用に適さないほど低いのに、わざわざ循環してまで一度加熱して、それを備長炭の壁を伝わせて冷ますのは解せない。これ以上源泉を劣化させる必要性がどこに?
この壁伝いのアトラクションと、洗い場などがあり音が反響して落ち着かない内湯に設定したことにより、源泉ぬる湯はそのお湯の癒し効果が非常に薄れていると思う。
少々塩素臭いのが難点だが、北投石風呂も面白いかも。
やはり温泉を楽しもうと思ったら、野天風呂蔵の湯 鶴ヶ島店は生源泉を使う暖かい季節に行った方がいいのかもしれない。
そうしたらもうちょっと評価も違ってくるのだろう。
なお、湯上りの肌のすべすべ感は体験してみる価値あり。