子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★★★ 泉質★★★★★ 湯はぬるめ、泉質にも刺激無し
- 設備★★★☆☆ 雰囲気 星無し 休憩室はある、ベビーベッドなどは無い、混浴はあるが週末は家族連れ向きではない
子連れ家族のための温泉ポイント
私がストレートにいきなり結論を書くことは珍しいが、ここの温泉は女性には決して薦められない。お湯が悪いわけではない。客のマナーが悪すぎるのだ。
子供たちを連れてプールに行くことにした。だが、いくら暑い日が続いても6月ではなかなか屋外プールはオープンしない。そこで国営武蔵丘陵森林公園で水遊びさせることにした。
帰りに温泉に寄って行こうと思ったが、最寄の森林公園ホテルヘリテイジ・四季の湯(ときのゆ)は
一度入ったことがある。どこか違うところはないか探してみた。
カーナビで近隣に百穴温泉を見つけた。
どこかガイドブックでジャングルのようなお風呂の写真を見た記憶がある。そこだろうか。
周囲は一面畑や林で町からは外れたところにある。古代墳墓として有名な吉見百穴が近い。
幹線道路から少し入ったところで、駐車場に車を停めるとえらく渋い建物が目に入った。ずいぶんとB級な佇まいだ。
やけに繁盛している。この佇まいに似つかわしくなく、駐車場は満車状態。しかもナンバーは埼玉か東京…泊まりではなくみな日帰り利用と見える。よほど良い温泉なのだろうか?
パンパンとしきりに五月蝿い音がする。射撃場が隣接されているのだ。
廊下を通って浴室へ向かうと、合宿所でもこれよりはマシかと思うような洗面台などがある。
脱衣所は手前から男性用、女性(混浴)用、女性専用浴室用と三つあり、いかにも適当に書かれた暖簾が下がっている。
脱衣所前まで来て、初めてこの温泉に混浴浴槽が存在していることを知った。こんなに首都圏から近い場所に混浴があったとはまったく知らなかった。
とりあえず女性専用浴室の脱衣所を使い、内湯へ行ってみた(左の画像)。
こちらも建物外観にマッチしたB級感漂う内湯だ。シャワーのフックが壊れていたり、シャンプーの容器が黒ずんでいたりする。
どうもこういう浴室に入浴するのは落ち着かない。別に新しい施設である必要はまったく無いのだが、メンテナンスや清掃が行き届かないお風呂は、
個人宅の浴室をお借りしているような所在無げな雰囲気があるものだ。
同じ脱衣所から女性用露天風呂に出ることが出来る(右下画像)。
こちらに来て少しホッとした。
見晴らしは無いが、悪くない岩風呂だ。汚れた透明のトタン屋根はいただけない。
お湯はメタホウ酸含有による規定泉で、強い個性を持っているわけではないが、温めなのによく温まる。内湯、露天風呂ともに、湯口からの投入はちょろちょろだが加熱掛け流しをしているようだ。
無色透明だが、ごくわずかに折のような濁りがある。
湯口での臭いはどこかでかいだことがある臭い。そう、熱帯を模した温室に足を踏み入れた時に感じるむわっとした湿った臭いだ。
それにしても射撃場の音が五月蝿い。寛ぐ気になれない耳障りさだ。
ここで少し温まってから、再び内湯に戻り、子供たちの髪を洗った。
それからちょっと混浴を見てこようと思った。家族で入浴できるかもしれないと思ったのだ。
混浴の浴室は女性用内湯に隣接しているらしい。窓ガラスを細くあけて子供たちにパパを呼んで貰った。パパはそこが混浴だとは知らないらしい。男湯だから入ってきちゃ駄目だよと返事をしている。
しかしその女湯と男湯を隔てるガラス窓の異様なこと(左の画像)。
どうして普通の透けないガラスにしないのだろう。気味が悪い。
混浴用の女性脱衣所は隣室なので、一度廊下に出ないと行かれないものと思っていた。そこで子供たちに服を着せようとしていると、どこからか「鍵を開けてくださーい」という呼び声がする。
見ると女湯用脱衣所と混浴用女性脱衣所の間に細いドアがあり、着替えなくても出入りできるようになっていた。
こちらの脱衣所に荷物を置いたまま混浴に移動した女性が、間のドアを閉められてしまった為戻れなくなっていたのだ。
詳しい話を聞くと、普段はそこは開けっ放しなのだが、たまに男性が入ってきてしまうので鍵を閉めることがあるという。
私たちの他に女湯には人はいなかったから、もしかしたら鍵を閉めたのは混浴に女性がいると気づかなかった施設の人だったのかもしれない。
女性は「家族で来たならせっかくだから混浴にも入っていけば」と誘ってくれた。
が、しかし、タオルを一枚たらしただけで入ろうとした私を止めて、今日はお客さんが多いみたいだからしっかりバスタオルを巻かないと駄目だよ、とアドバイスしてくれた。
彼女もかっちりとバスタオルを巻いていた。
混浴に通じるドアを開けて、しばし呆然と立ち尽くしてしまった。
…!!!
なんという異様な雰囲気。
かなり広い浴室は、記憶にあるとおりジャングル風で、もともとの温泉の臭いが熱帯植物的だからイメージとしては間違っていないのだが、開閉できる頭上は汚れまくり、
植物はわさわさとむさ苦しく伸びて、さびれかけた温室内で入浴しているようだ。
それより変なのは入浴客たち。男性ばかり20人以上いて、全員でこちらを凝視している。
子供たちに中に入ってパパを探してもらったが、どうもパパは既にあがってしまったあとらしい。
パパがいないのでは、わざわざタオルをぬらしてまで混浴に入る意味も無い。というか、こんな混浴誰が入りたい?
更衣室に戻って先ほどの女性に話を伺うと、彼女は地元の人らしくときどき連れ合いとここの混浴に入りに来るが、普段は2、3人しか入っていないのに、この人数は異常。 いつもなら湯が温めなので3時間ぐらい入っているが、今日はとても長湯をしたいと思わない、とのこと。
帰宅してネットで百穴温泉を検索してやっと理由が判った。
首都圏から近い無色透明の混浴風呂だというので、一部でかなり有名になっているらしい。週末ともなると、混浴に入浴する女性を見るという目的のためだけに百穴温泉にやってきて、
トイレも我慢してひたすら浴室で女性の脱衣所ドアが開くのを何時間も待ち続ける男性が相当数いらっしゃるらしい。
あとから何故あんなに異様な雰囲気を感じたのか考えてみた。
まず女湯にほとんど入浴客がいないのに、男性客が多すぎることに異常を感じた。普通の温泉なら、それほど比率に差は出ない(平日昼間に女性客が多かったり、
ゴルフ場の傍では男性客が多かったりすることはある)。
あれだけの人数が入浴していたら、普通はグループがちらほらあるはず。ゴルフやツーリングなどで友人たちと来ている場合、浴槽内では各々のグループで固まって話をしたりしているものだ。
それが(本当に気持ち悪いことに)20人くらいいるのに、全員浴槽やその周りに、計ったように均等に陣取って、全員無言のまま隣と等間隔の距離をおいていたのだ。
さらに、普通は浴室内でみんなてんでの方角を向いているはずが、全員こちらを向いていた。普通は混浴の場合、女性が入ってきたらじろじろ見ないように別の方を向いたり目をそらしたりする人が
多いが、ここでは命令されたかのように全員が最初から同じ方向(女性脱衣所の方)を向いていた。
子供たちが「パパいるー? パパ何処ー?」などと呼びかけたとき、普通の温泉なら誰か、「もう、あがったみたいだよ」とか「いないみたいだね」とか話しかけてくれるものだが、
ここでは誰一人言葉を発しなかった。
どこの混浴でもマナーの悪い男性はちらほらいるものだ。だが、そうした人が女性に煙たがられるように、わざと女性の方を向いたりする男性は、一般のほかの男性にも「あいつ、感じ悪いな」と
見られるものである。それがここではまったく違った。見るからに「全員共犯」状態。
とにかくこちらが入ってきた時に、全員が均等に浴室に配置され、全員で無言で表情も変えず、全員でそろえたようにこちらを凝視してその目つきはまるで「モノ」でも見ているよう。
こんな気持ちの悪い温泉がある?
楽しい週末に他にすることもなく、こんな情けないことに血道をあげ、君たち自分が哀れだとは思わないの?
親や職場に自分の趣味、言える?
たぶん自分たちでは、自分たちがどう見えているかわかっていないのだろうね。記念写真でも撮ってあげればよかったな。
お湯は悪くない温泉なので、状況が改善されることを望む。