子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★☆☆☆ 泉質★★★☆☆ 熱い浴槽があるので注意、塩分が濃いので長湯に注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★☆☆☆ 休憩室有り
子連れ家族のための温泉ポイント
いきなり驚いたのは脱衣所に人が倒れていたことだ。
いやいや倒れていたと一瞬思っただけで、実は横になっていただけだった。脱衣所の床に横になって仰向けで休んでいた人がいる。
「本当に倒れる人がいてもおかしくないくらいにすごい温泉なんだよ」
連れてきてくれた友人のえんぴつさんがそう言った。
期待が高まる。なんたってあの百観音温泉だから。
百観音温泉といえば私が温泉のウェブサイトを立ち上げて少しずつあちこち回り始めた2000年代一桁前半の頃、少なくとも関東の温泉ファンの間では知らない人もいない有名な日帰り温泉だった。
今でこそ埼玉にも小奇麗なスーパー銭湯系の日帰り温泉が乱立しているが、当時はそんなものも見当たらず、昔から営業している宿や健康ランド的な施設が少しあるばかり。その中でひときわ異彩を放っていたのがこの百観音温泉だ。
毎分千リットルの豊富な源泉が自噴し、使い切れないからドバドバ棄てているとか、当時としては珍しく町中の日帰り温泉なのに源泉かけ流しとか、いろいろと噂だけは聞いていた。
だからこそ「実はまだ行ったことがなくて」と言うと驚かれる。
一度行こうと企画したこともあったが、たまたま子供が体調を崩したりして、ついに行く機会がないまま今に至ってしまって、やっと尋ねることができた。JR東鷲宮駅から徒歩5分程度の近さだとは知らなかった。
外観は想像していた通りどことなくB級な佇まいで思わずふふと笑みが浮かんでしまう。
お風呂のお湯をすくって顔に近づけると何だか揮発してきた灯油のような何かが鼻と喉を刺激する。
夕暮れ時の露天風呂はお湯の色が黄色っぽく見えるがよくわからない。
塩分が強く浸透圧で肌とせめぎあっているような感じ。肌触りは意外と強くきしついた。
これでも以前よりはずっと薄くなったというか、パワーが落ちたという話らしいのだ。
最盛期はいったいどんなお湯だったのやら。想像するのも怖い。
露天風呂は意外にモダンで、やけに浴槽の種類が多い。
最初に一番奥の広い浴槽に入ったのだが、熱いお風呂のほうが効くと言うのでそのあと手前の一番熱いところにも入ってみた。立ち湯になっていてかなり深い。
この熱い浴槽はあふれたお湯が一段下の浴槽に流れ込むようになっていたが、入った時の容積がそのままお湯の流れになって落ちていくと、お湯が動く分、さらに熱く感じる。
これは倒れる・・・じゃなくて、脱衣所で人目もはばからず床に横になってしまう人が出るはずだ。
ひざ下がズキズキ痛み出した。さすがに長くは入っていられない。
またちょっとぬるめの浴槽で休んでからもう一度ここに戻って来よう。
それにしても短時間入っただけでえらく搾り取られてしまったような気がする。
さすがは噂の百観音温泉なのだ。