子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆
- 設備----- 雰囲気★★★★★ 小さい子供連れで行くことは考えていない
子連れ家族のための温泉ポイント
登山道を3時間強歩いてやってきた赤湯温泉 山口館。登山中の話は【登山編】で。ここからは到着後の話。
まずお風呂の種類から紹介する。山口館には露天風呂が3つあり、それぞれ「玉子湯」「薬師湯」「青湯」と呼ばれている。源泉名はそれぞれ「玉子の湯」「薬師の湯」「青の湯」。公式サイトにはうち2つが足元湧出だとあるが、女将さんによると3つ全部じわじわと足元から湧いているとか。「青湯」だけさらに他からも少し引いているかも。
このうち夜明けから夕方6時まで「玉子湯」と「薬師湯」が男湯、「青湯」が女湯。夕方6時から夜8時までは交代になり、以降は日が昇るまでの夜間混浴。しかし…
これにはどうも納得がいかない私。一番有名なのが川に面した「玉子湯」で、ここの特徴はとにかく川がとても近いことなのに、女性が入れるのは日が落ちてからのみ。そりゃ外から見られたらと無難な暗い時間帯にするのはわからないでもないが、女性にしてみたらせっかくの川の近くの露天風呂に景色が見える時間帯に入れないということになる。
女将さんに聞いてみたら、人が入っていなかったら女性も入っていいよと返事が返ってきたが、とにかく昼間はひたすら男性が長時間入っている。そりゃ男性にしたら男湯なんだから入りたいだけ入って何か問題があるかって思うだろう。
自分に理が無いことはわかっているが、それでも川が見える時間に少しでも入らせてよ~とやきもきした。3時間強歩いて来たのに悲しい。女湯の「青湯」が悪いなんてことはないが、あの川の真横の露天風呂に入ってみたいのだ。
むろん夕方6時からの男湯女湯交代時間には入ったが、マジで真っ暗で何も見えん。私たち以外の女性陣も、ヘッドライトやスマホのライト機能で足元を照らしながらなんとか湯舟までたどり着く感じ。
いや、これじゃないんだよ。温泉に入るだけならこれでもありがたいんだけど、私は川を見ながらどうしても入りたいんだ。だってあのロケーションだよ?
それで最後の手段として夜明け前ギリギリを狙うことにした。夜が明けるまでは混浴だ。わざわざその時間に入りに来る男性はそうはいまい(いくらでも日の高いうちに入れるのだから、また日が昇れば朝風呂も好きなだけ入れるのだから)。
で、やっとやっと夜明け前に川の見える「玉子湯」に入れた。なんかもう泣きそうだった。ここに入りたくて3時間以上かけて登ってきたのに、うす暗いうちにこそこそと入ってる気がして嬉しいけど情けない感じ。
ここからはお湯の印象。源泉温度が50度以上でも浴槽に貯めると冷えるので、「玉子湯」の川に向かって一番右は体温ぐらいかもっと低い温度になっていた。これは男性陣がさっぱり上がらないわけだ。少しなまった鉄臭と沢水のようなにおい。ギッチリキシつくが、女湯の「青湯」ほどではない。茶色っぽい濁り湯に見えるが、入ると上の方は少し透ける程度でそれほど濁りは強くない。
一番奥の浴槽との間は岩が盛り上がって寝湯のように浅くなっている。そしてこの季節は一番奥は冷めないように発泡スチロールで蓋をされていた。これを外して入っていいらしい。ここはそこそこ深めで温かいが、それでも42度は無い。上がる時はまた蓋をするが、なかなかこの発泡スチロールが重い。
「青湯」はほんのりとうす青い。お湯の色は一番綺麗だ。ラムネのような爽やかな金属臭がする。しかし赤湯なのに青湯とは!?
そして肌触りはびっくりするほど滑らない。もうキッシキシのギッチギチ。
「薬師湯」は小屋になっていて、3枚の発泡スチロールの蓋があり、3枚全部蓋をしてしまうと熱くなりすぎるから外せと書いてあり、2枚だけが使われていた。ここは体感温度43度ぐらいありそう。
お湯のにおいや感触は「玉子湯」と似ていて、小屋っぽく囲われている分、においはより強く感じられる。濁りは逆に薄い。
「玉子湯」「薬師湯」「青湯」全部に共通して、脱衣所に当たるところがないので、適当な場所で脱いで、岩の上にでも服を置いておくしかない。山小屋の秘湯らしくワイルドといえばそうだが、あまりそういう経験が無いので困るといえば困る。
昔は3つの露天は河原側からアクセスできたそうだが、土砂崩れで「青湯」とそれ以外の間に岩が積まれてしまい、今は歩道側からしか行き来できなくなったという。
お宿は5年ほど前(訪問が2023年だから2018年ぐらいか?)に新館を建て替えたのでそちらがわはまだ新しい。本館と違って夕方ぐらいまでは自家発電で、薄暗いが灯りもつくので、新館に優先的にお客さんを入れているそう。
本館の客室というのは食堂に使っている囲炉裏の部屋の2階で、こちらも一応泊まれるみたい。
「山口館」は家族経営で、ご主人は麓と宿を行き来して物資を運び、奥様は麓にいて電話番。ご主人の妹さんのけいこさんが宿に在中して女将として切り盛りする。忙しい時にはさらに下の妹さんが手伝いに来る(下の妹さんは他のお仕事と兼業)という形態。
お客さんにもなじみのリピーターの人が多く、みなさん和気あいあい。
翌朝は宿のすぐ先にある野湯の見学にみんなで行ったりした。そこも下からポコポコ湧いている。歩いてすぐなので、これも宿のお風呂にしちゃえばいいんじゃないと思うくらいに近い。