子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ お湯の温度は加水で調整可能
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★★ 休憩室あり、混浴露天風呂あり
子連れ家族のための温泉ポイント
地獄谷温泉は海外でもよく知られている。
温泉に入る猿=スノーモンキーがいる場所として。
この温泉に入っている猿の姿は記念切手になったことも、申年の年賀状の切手に印刷されたこともある。
温泉に猿が自主的に入るだけでも珍しいのに、それが目の前で観察できる地獄谷は非常に興味深い観光名所だ。
実は2004年にまだ小さかった子供たちを連れてこの辺りに来たのだが、その時は後楽館のある地獄谷野猿公苑には行ったけれども猿を見学しただけで、お風呂に入っていなかった。
後楽館の日帰り入浴は昼12時から15時までなので、午前中や夕方では入れないのだ。行き当たりばったりで出かけると時間外であることが多い。
ちなみに午前中に日帰り客を受け付けていないのは、宿泊客のチェックアウトが終わってから清掃を行うからだ。
地獄谷温泉は渋温泉のはずれから横湯川に沿った一本道に入り、3キロほど行ったところかな。道の突き当りだ。
車道は後楽館までは通っていない。
駐車場から先は川沿いの砂利道や簡易な手すりのついた階段状の坂を7、8分歩いてようやく後楽館が見えてくる。
まず川の対岸後楽館の休憩所と書かれた古びた三角屋根の建物が見えて、あれが温泉かなとさらに歩くと橋の手前に道をまたぐように建つ木造の建物が現れる。
歩道は建物を潜るように続いているのでその先に歩いていくと河原に勢いよく蒸気を噴き上げている噴泉が見えた。
噴泉の側には橋が架かっていて、その橋の先が地獄谷野猿公苑で、さっきの三角屋根の休憩所に続いているようだ。
結構この歩道も人が多い。夏休みだから多くは家族連れで、でもみんな猿を見に来ただけのようでお風呂に行く様子は無い。
少し戻って後楽館の入口へ。
日本秘湯を守る宿の提灯が下がっている。ドアはオープンになっているが狭い帳場には誰もいない。
呼び鈴を鳴らすとお兄さんが出てきて、お風呂に入りたいと言うと入浴料を徴収して、お風呂は右と教えてくれた。
靴をぬいで狭い廊下の急な階段を下りる。
建物の外観と比較して浴室入り口あたりはまだ新しそうだ。
入ってあれ?と思った。
感じの良い板張りの浴室に木製の浴槽。でもイメージしていたのと違う。
地獄谷温泉後楽館と言えば猿と入れる露天風呂だから、露天風呂があるのだと思っていた。
でもお兄さんはお風呂は右って言っていたし、右に進んだらここしか無かったし。
公式サイトのどっかに女性用露天風呂があるって書いてあったと思ったのに。
もしかして露天風呂は宿泊者専用なんだろうか?
帰ってから調べたら女性の露天風呂はいったん外に出ないと行かれないようだった。
受付の時にお兄さん、言ってくれたら良かったのに。
とにかくその時はそんなことは判らなかったので、この木造の湯小屋しかないのだと思ってそこに入った。
全部木でできているが湯口だけは岩。
相当熱いのかと思ってそろそろと手を入れたが、予想以上にぬるかった。
湯口のすぐ横にパイプからつながった錆びかけた蛇口がついていて、そこからお湯よりよほど多い量の水が出ている。
壁には「水を止めないでください」の貼紙があったが、少し蛇口をひねって水の量を減らした。いくらなんでも薄めすぎだ。
甘いゆで卵のにおいがする。荒削りな感じじゃなくて既に馴染んでいる感じ。
軽いきしつきとべたつき。
無色透明だけど湯口の側に近づくと底に沢山湯の花が沈んでいることに気付いた。
お湯が動くとゆらゆらと白い羽毛のような巨大な消しゴムかすのような湯の花が浮かんでくる。
面白いのは窓の外。
上の方にも窓はあるのだが、お風呂に入って目線の高さにもガラスがはめ込んであって、そこからさっきの勢いよく蒸気の上がる噴泉と、地獄谷野猿公苑に行くために橋を渡る観光客が見える。
特に橋は本当に間近に見えるので、たぶん向こうからはマジックミラーになって浴室が見えないようになっているのだと思う。
そしてそろそろ上がろうと思ったとき、湯気抜きの付いた天井を見上げてびっくりした。
湯気抜きから猿が一匹こちらを見下ろしていた。
わー、猿だ猿だ!!
さすが地獄谷温泉。
猿はこちらを一瞥するとさっと引っ込んでしまった。
ところで男湯は浴室からそのまま混浴露天風呂に出られるようになっていた。
露天風呂は野趣あふれた川沿いで、見ていると川の方から一匹の猿が近づいてきてお風呂のお湯を飲み始めた。