子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ お風呂は適温、泉質は特に刺激無し
- 設備★★★★★ 雰囲気★★★★☆ 脱衣所にベビーベッド、大広間休憩室有り
子連れ家族のための温泉ポイント
上信越道を坂城ICで一般道に降りて、市街地を抜けて千曲川を渡る。
日本最長の河川こと信濃川は信濃の国では千曲川と呼ばれる。
すると正面に印象的な三角形の山。
それは岩井堂山、別名自在山と呼ばれる山。
そしてその近くになだらかな櫛形の山があり、それがびんぐし山。すなわち鬢(髪の毛)をとかす櫛だ。ここにびんぐしの里公園があり、公園の敷地内、小高い斜面に日帰り温泉施設のびんぐし湯さん館がある。
びんぐし湯さん館の名はびんぐし山のびんぐしと、物見遊山の「ゆさん」からなる。
特徴的なロゴは、釣りキチ三平で知られる漫画家 矢口高雄氏の筆による。
スキーの帰りに、混雑を避けてあえてスキー場から離れた交通の便の良い日帰り温泉に立ち寄ったつもりが、スキー場以上に混雑していた。
料金の安さ、施設の広さ、充実度、清潔度、さらにお湯が良く、湯船からの景観も絶品と来ればそりゃあ混むのも納得だ。
入り口近くは円形の建物になっていて、水着のクアゾーンがある。
浴室は奥だ。
内湯は窓が大きく、そこから坂城市街を見下ろすことができるようになっている。
ガラスの向こうは露天風呂で、入浴客はみんな揃って後ろ向き。
横に並んで景色を見ているからだ。
露天風呂は右手に43度の熱湯浴槽があり、中央に41.7度の横長の浴槽がある。この横長の浴槽の一部は寝湯のようになっていて、景色を見ながらくつろげるようになっている。
また、左端に二つ並んで樽風呂があり、子供たちがそこに入っていた。
「失礼、ママも入れて」と言って一緒に入った。
とぽとぽと湯口から出ているお湯からは、ゆで卵のような臭いがする。
そうそう、同じ硫黄のにおいでも、昨夜まで泊まっていた赤倉温泉の方はもっとつんつんと刺激的な感じだった。びんぐし湯さん館の方は柔らかく丸い臭いだ。
お湯の温度といい肌触りといい、とても気持ちの良い樽風呂だったが、「入っていると殿様になったような気分がするという意見もある樽風呂ですが、人気があるので譲り合ってお入り下さい」と張り紙があり、寝湯の方にいた余所の子供が入りたそうだったのですぐに上がった。
寝湯の方は樽風呂より温度が高かった。
ちょうど横長の浴槽に合わせて竹垣が低くしてあるのだが、それでもお風呂に入りながら見るには高い。
立てばよく見えるんだけどそこが残念。
こういうところは近くの東部湯の丸にあるアグリビレッジ東部湯楽里館にそっくりだ。
びんぐし湯さん館は、飲泉許可を取り付けていて、内湯の湯口のひとつから源泉が飲める。
3、4人でいっぱいという感じの丸い浴槽がそれで、鮎を象った黒い三つの湯口が並んでいた。
これはそれぞれ水道水と源泉と加熱水道水の口で、真ん中の源泉湯口だけに僅かに析出物がこびりついている。
先に入っていた一人が手で源泉を受けて飲み、二人目が源泉でしきりに顔を洗っていた。
飲むために用意されていたコップは、何故か陶器の湯飲みがひとつと透明プラスチックの計量カップがひとつ。
味も臭い同様ゆで卵系だった。
残念なことにこの源泉浴槽は塩素臭かった。内湯の大きな浴槽もだ。露天風呂は塩素臭がしなかったのに。
湯上がりは休憩室でおしぼりうどんなどを食べることができる。
おしぼりというのは、この辺りで取れる辛みの強い地大根の汁を搾ってそこに味噌や薬味を入れたつけ汁のこと。
運ばれてきた「おしぼり」は、白濁して見るからに辛そうな色合いだった。味噌を入れると不思議とまろやかになり、あまり辛くは感じない。
休憩室からも坂城の町を見下ろすことができる(右の画像)。
もう少し空いているときにゆっくりできたら、きっと自分の中での評価がずっと上がる温泉のように思う。
気兼ねなく、あの樽風呂を独占できたら、本当に気分はお殿様になれるかも。
そんな風に暮れゆく眼下の町の灯りを眺めながら思った。