子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 湯温は適温(鳴子としては露天風呂はぬるめ)、泉質も特に問題なし
- 設備★★★★★ 雰囲気★★★★☆ 大ホテルらしく設備は整っている
子連れ家族のための温泉ポイント
今でこそ「鳴子観光ホテル」と、どこの観光地にもありがちな名が付けられているが、ここは本来は源蔵湯旅館という名の400年以上の歴史を持つ由緒正しい宿だった。
鳴子温泉の名の由来はいくつかの説があるが、この旅館に伝わるものはこうだ。
承和二年(835年)に潟山が爆発した際、十七日間その振動が続き、そのときの山崩れから温泉が湧きだしたと。その名を鳴聲(なるごえ)の湯。
そしてまた、鳴子温泉ホテルの源泉は、創始者 大沼源蔵の祖先 弥治右ェ門が元和年間(1620年)鳥谷ヶ森(現潟沼)の麓で発見したとされる。
私などは鳴子温泉郷と言えば鄙びた湯治宿が連なる印象を持っていたが、このホテルはそういった印象とは一線を画していて、湯治とか不況といったワードとは無縁、大型観光バスや団体旅行客、観光地というワードを連想させ、訪問したこの日がまさに三連休中だと言うことをはっきりと思い出させてくれた。
駐車場に車を止めると早速従業員が寄ってくる。
日帰り入浴したい旨伝えると、流石は躾の良いホテルマン、受付時間まで30分近くあるにも関わらず、どうぞどうぞと招き入れてくれた。
大浴場は如何にも大ホテルの浴室という感じだった。
脱衣所も洗い場も大勢のお客さんがいっぺんに使えるよう配慮してあるし、窓が広くて圧迫感のない空間はなんとなく贅沢だ。御影石の浴槽や床も高級感がある。
備え付けのシャンプーも炭入りとオレンジの二種類。
手前に八角形の小さめの浴槽があるが、これは水道水の沸かし湯。奥に二つ広い浴槽があって、そのうちひとつは打たせ湯の湯が何本か落ちている。
温泉はこれまた絵に描いたような白濁湯だった。ほとんど真っ白だ。
酸っぱそうな硫黄臭に肌触りさらさらした湯の感触、これはまた、猛烈に一般受けしそうなお湯だ。
クラスに一人いるモテモテのイケメンくん。まさにそんな印象。
すぐ近所の共同浴場 滝の湯も白濁湯だが、あちらがアクの強い個性派だとすれば、こちらは10人いれば9人までがまさに思い描いていたような温泉だわと感激することだろう。
露天風呂もついていた。流石に場所柄、展望はないが。
四角い木の浴槽でなかなか感じがよい。
内風呂が少し熱めだった分、露天はぬるく感じる。お湯は内湯の、特に打たせ湯がついている浴槽が濃い感じだったが、のんびり入るなら露天風呂の方がいいかもしれない。
ちなみに、鳴子観光ホテルは加水循環風呂だ。
でもものは考えようで、このホテルで重視しているのは大勢のお客様に、熱すぎたり待たせたりしないで、気持ちよく温泉に入浴してもらうこと。それを考えれば高い温度は加水し、広々とした浴槽に常に満々と湯を張るのは間違いではない。
清潔度は申し分ないし、アメニティも揃っている。
これはこれで良いのだ。
各々で差別化を図るという点でも。
ちょっとやそっとの加水循環では損なわれないような強力で端正な源泉を所有していることもこのホテルの強みだろう。
ただ、強いて言えばせっかくのイケメン温泉くん、すっぴん顔が見たかった。これだけレベルが高いなら、さぞや源泉そのままは・・・と、想像だけしてみる。