子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 泉質に刺激はなく、湯温は浴槽によってさまざまだが割とぬるめ設定
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッド有り
子連れ家族のための温泉ポイント
温泉の由来の中には動物が発見したとされるものも多いが、また高僧が発見したとされるものも多い。
それだけ地中から湧く湯は神秘的だったのだろうか。
ここ、作並温泉もその例に漏れず、東北地方を行脚中に、行基が発見したことになっている。
七夕で有名な杜の都・仙台。
東北随一の大都市仙台から、西へ48号線こと作並街道が伸びている。車を30分ほども走らせれば、そこはもう、緑濃い仙境だ。
東京ではとてもこうはいかない。30分程度走っても、ビルまたビルだ。やはり仙台というのは環境に恵まれた都市なのだろう。
作並は以前一度訪れたことがある。仙台の友人に連れられて、鷹泉閣 岩松旅館に立ち寄りで入浴している。岩松旅館もとても良いお風呂だった。
作並で有名なのは、この岩松旅館と一の坊なので、今回は一の坊を選んだ。
湯づくしの宿一の坊は、立派な門構えだ。時間は朝の10時半で、ちょうどチェックアウトのお客さんがいなくなった頃だろう。
いきなり立ち寄り湯専用カウンターがある。
北東北の温泉を回ってきた後では入浴料金にもびっくりだ。大人1,300円(これは土日祝日料金、平日は950円)、子供500円(これは曜日による変動はないが、歩けるならば0歳児から有料だ)。※訪問当時の料金設定
この金額でタオルもつかないんだーと思ったら、別のサービスがあるのだった。なんと、浴衣を着させられるのだ。
最初は、立ち寄りで着替えさせられるなんて鬱陶しいなぁと思ったが、ここは、来たらゆっくりしていけということなんだろう。
ロビーから二階に上がって浴衣に着替えて、今度は地下二階に下がって浴室へ行くとは、アプローチも長い。
長いが非常に洗練された造り。東北旅行中は野趣溢れる湯が多かったので、最後の温泉はこんな風に都会的で瀟洒なところもいいだろう。
一の坊で最も有名な風呂は広瀬川を臨む広瀬川源流露天風呂だ。
四種類の浴槽が並んでいて、川はもう目の前。今は夏で緑一面だが、紅葉のころはそれは素晴らしく、また雪見にもお勧めらしい。
ここには1.2mの立ち湯もあって、源泉は60度近いのだが、夏はぬる湯(30度)に設定してある。また温泉蒸気による天然サウナもあって、「つる鶴」と語呂よいネーミング。
環境に配慮していて、露天風呂には石鹸などはおいていないそうだ。
ところが、この素晴らしいロケーションの広瀬川源流露天風呂は時間により男女交代制だ。宿泊すればどこかの時間で入浴できるが、立ち寄りでここに入りたい場合は事前に、チェックした方が良い。日によって違うのだ。
残念ながらその日その時間帯は、これは男性用で、女性はもうひとつの鹿のぞきの湯であった。
こちらも山の中らしい風情があってよいのだが、ちょっとロケーションは川沿いの露天風呂とは比較にならない。岩の湯船の前に小さな木組みの小屋があり、湯はそこで湧いて木枠を伝ってくる。深さは浅めで子供づれにもありがたい。
もうひとつ源流露天風呂に入れなかった場合は、自然風呂(旧名 行基の御湯)もついてくる。
温かみのある木の浴槽で、40度とぬるめに設定してあり、足元から湯を出している。こちらは夜は貸切風呂になるそうだ。ちょっと深めで小さい子供は背が立たないかもしれない。
内湯も広々として清潔だ。木の枠が通してあるのは、まくらにしてくださいということらしい。立ち寄り料金が高いだけあって、ここはリンスインシャンプーではなくて、リンスが独立しておいてあったのが印象的だ。ちゃんと脱衣所にベビーベッドもある。
湯は無色透明。ほとんど味も香りも無いが、肌触りは柔らかく、わりと温まる。湯の個性はあまり無い方かもしれない。
全体として、とにかく何もかも先回りして準備されており、センスもよくサービス精神も旺盛だ。ここのフィーリングにぴたりと合う人は、最高級のランク付けをするだろう。
私のように、もうちょっと好きなようにさせてよ、と思う人は天邪鬼かもしれない(笑)。
一の坊は食にも力を入れていて、松島の田里津庵などはとてもお勧め。こちらの作並でも、釜飯のかまど家、鍋と和洋創作料理のなべ茶屋、網焼きとフルーツ懐石の木挽亭と、昼食にもいろいろな選択肢がある。