子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ 露天風呂の釜風呂は縁が薄くて入りにくいので大人と一緒に
子連れ家族のための温泉ポイント
京都大原 寂光院の創建はとても古く、飛鳥時代の594年と伝えられる。
寂光院は元々聖徳太子が父の用明天皇を弔うために建てた寺で、聖徳太子自身が製作したとされる六万体地蔵尊を本尊とし、聖徳太子の乳母であった玉照姫が初代住持であったとされる。尼寺なので、代々住持は女性がつとめている。
しかし寂光院を有名にならしめているのは聖徳太子ではなく建礼門院徳子だ。
なぜかと言えば恐らく聖徳太子と寂光院の関係は既に伝説に近く、複数の創建説があるからと思われる。
といっても建礼門院と寂光院の関わりは明らかであり、また平家物語に語られる壇ノ浦に没した平氏一門と、生き延びて出家し一族を弔った建礼門院の悲劇とあわせて広く語り継がれていることから、彼女を偲ぶこの寺の参拝客は後を絶たない。
その寂光院から徒歩数分、道を挟んで大原の里と大原山荘という二軒の民宿が温泉を引いている。
民宿と言っても小奇麗な和風旅館で十分通じる外観。
どちらの宿も軽い食事とセットで日帰り入浴が可能だが、この日はたまたま大原山荘は日帰りできないとのことだったので大原の里に伺うことにした。
大原の里の温泉は弱アルカリ性の単純温泉で、比較的ラドン量が多い他は特にこれといって表面的な温泉らしさが判りやすいタイプの温泉ではない。
大原は花折断層という活断層の西側に位置し、大原温泉は断層亀裂から湧出した28度ほどの源泉を千メートル以上の深い地盤から汲み上げて浴用に加熱している。
大原の里は脱衣所も洒落ていて、脱衣所の横に長い窓から大きなお釜のようなものが見えていた。どうやら露天風呂らしい。
最初は大原の里ではなく大原山荘に行くつもりであったし、お風呂の雰囲気のようなものは事前にチェックしていなかったので、雰囲気の良い露天風呂があるのは素直に嬉しかった。
浴室はそんなに広くない。各カランに並べてある椅子と桶がプラスチック製ではなく木製であるところが高級感を出している。
壁も板張りで、一番奥にそれほど大きくは無い四角い浴槽。無色透明のお湯が満ちている。
温度は比較的ぬるめだったが、入ってすぐに湯口から少し熱いお湯が出てきて、ぬるめの好きな子供たちはさっさと露天風呂の方に行ってしまった。
露天風呂は浴槽の手前のドアから外に出るとある。内湯と同じような四角い浴槽で桧造り、さらに階段を昇ったところには先ほど脱衣所からちらりと見えていたお釜状の五右衛門風呂もあった。
露天風呂は大原の里の建物と斜面とに挟まれた位置に設置されているので見晴らしは無いが、庭木や石垣、斜面の林などに囲まれた風景は素晴らしい。
きしつく肌触りの他は特に特徴のないお湯だが、というかむしろ消毒の塩素の臭いがやたらと鼻に着くのだけが残念なのだが、それさえ気にしなければとても良いお風呂だった。
とにかく古都京都の大原で、緑を眺めながらこんな風にリラックスできる時間を過ごせるだけでもう十分に満足だ。
五右衛門風呂のお風呂の縁に腕を置いて頭を乗せる。
贅沢だなぁ。