子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆ お風呂が貸切利用できるところが子連れにも便利
子連れ家族のための温泉ポイント
箱根の仙石原方面から流れてくる早川とその支流の蛇骨川が合流するあたり、ちょうど川に沿った道も同じように仙石原から来る138号線と元箱根・芦の湯方面から来る1号線がぶつかる三叉路周辺が宮ノ下だ。
渋滞の起点になりがちなごちゃごちゃした通りの周辺は、何と言っても箱根を代表する由緒正しいホテルの一つ、竜宮城のごとき外観の富士屋ホテル、富士屋ホテルの別館で元々皇室の御用邸として建てられた菊華荘、会員制高級リゾートエクシブ箱根離宮など、絢爛な建築物が並ぶ間に、庶民的な小ぢんまりとした店舗や裏道などが点在する。
急坂の多い通りを温泉民宿好楽荘、たかぎ旅館と回ってみたが、どこも今日は日帰り入浴は受け付けていなかったり、呼べど叫べど誰も玄関に出てこなかったりして、最後にここ、遊月にやってきた。
客室8室の小さな宿。
ちゃきちゃきした女将さんが出てきて、こちらが大所帯だったので男性は少し大きなお風呂に入れる隣の月廼屋(つきのや)旅館へ、女性3人はこちらの遊月のお風呂へどうぞと迎え入れてくれた。
ポスターなどが貼ってあり少し雑然としたフロントで入浴料を払うと布張りの小さな二枚貝で作られたストラップをいただいた。
お風呂は二つあるがどちらに入ってもいいと言われたので、最初に案内された岩風呂に入らせてもらった。
ここは男湯・女湯という区別ではなく、基本的に貸切利用のようだ。
宿泊した場合でも貸切で入浴するようになっていた。
岩風呂は野天風呂という扱いだが、実際は一部外に向かって開いている部分がある半露天風呂、いやいやほんのちょっと露天風呂状態で、外気の入れ替えはあるが見晴らしは特に無い。
だがその佇まいは小規模な旅館にしてはなかなか洒落ていて良い雰囲気を持っている。
岩から流れ落ちる湯は循環らしいが、蛇口をひねると勢いよく源泉が出てくる。
お湯はほぼ無色透明。
湯量の加減で熱くもぬるくもできるが、それほどの刺激は無い。
焦げたような臭いがするのは今朝入ってきた芦の湯きにくにやの硫黄泉の名残かもしれないが、浴室全体にどことなく甘い臭いが漂っているような気もする。
味はわずかに塩っぽいような苦いようなものがあるが、むしろまったりしてざらつく舌触りが印象に残る。
ぬるめに設定しても入浴中は不思議と発汗してくるのに、お湯から出たとたんにさあっと暑さが引いていくのが判る。ぽかぽかしないというのだろうか、それはもう面白いくらいに。
でもずっと冷めているわけではない。また時間がたつとじんわりと中から温まっているのが判る。
最後に野天風呂じゃない方のお風呂も見学させてもらった。
こちらはシンプルな長方形のタイルの浴槽だが、やはりお湯が岩から伝わって注がれる趣向は野天風呂と共通だ。
このほかに反対側の側面には圧注浴の泡が出ていた。
前日からの箱根の湯めぐりで肌はすべすべかつふっくらとしていたが、こちらの温泉に入った後はどちらかというと水分を持っていかれてすべすべになったような肌触りに。
例えば色がついていなければどの温泉も同じようだと思っていると、意外な個性の違いに驚かされることが多い。