子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ お湯はぬるめ、濁り湯で析出物でごてごてなので気を付けて
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッド代わりになりそうな木のベンチあり
子連れ家族のための温泉ポイント
大隅半島を南下して、道の駅たるみずを過ぎるとすぐに桜島へ続く分岐点だが、いったんはそのまま直進。
桜島に渡る前にテイエム温泉牧場のまさかりテイエム温泉に寄っていくつもりだったから。
テイエム温泉牧場は競走馬の牧場で、何故かここに日帰り温泉がある。
まさかりテイエム牧場温泉は析出物で有名だ。
行ってみた私の感想は、北の豊平峡温泉に対して南のまさかりテイエム温泉。
まさに異世界。
どんな風だったかというと・・・
大隅半島を海岸沿いに進むと、やがて桜島は後方に、そして前方の海の向こうに小さく開聞岳が見えてくる。
道路標示に従って幹線道路を右の脇道に折れ、すると何だか緑の屋根の廃屋みたいな建物に、「天然自噴温泉」「TM牧場温泉」の文字と赤い矢印がペイントされていて、まさかこれ?と絶句する。
ものっすごく不安だ。
しかしその廃屋みたいな建物の裏に回り、海岸に沿って坂を下ると、いきなり南国プライベートリゾートのようなビーチ。
しかもいつの間にか空が晴れているんだ、これが。
他にまったく車の停まっていない駐車場に車を入れて、受付に行くと・・受付って言うのは、「温泉公園」「天然自噴」「黄金の湯」と板の貼られたキャンプ場の受付みたいなところで、10時オープンだと思っていたのにそこに書かれていたオープン時間は11時から。
うっ、まだ11時になっていない。
しかし受付にいたおじさんがちょっと考えて「いいよ」と言ってくれたので、10分ほど早かったが入れてもらえることになった。ありがたい。
芝生に椰子の木、洋風庭園にありそうな白い石製のテーブルセット。ちょっとした中庭のようなスペースを突っ切ると、洋風とは言い難い湯小屋がある。
入口に岩風呂と書かれていて、壁は板張りで丸太の部分もあるが屋根はトタン。左が男湯、右が女湯。
ここまで連れてきてくれたおじさんは鍵を開けるとどうぞとドアを開けた。
脱衣所は薄暗かった。
脱衣籠は見当たらなくて錆びたロッカーが並んでいる。なんとなく日帰り温泉の脱衣所というよりも古い学校か工場の更衣室みたいだ。
でもそこから浴室に移動してさらにびっくりすることになる。
なんともはや。
個性的というか、他に似た温泉が無いというか。
温室かビニールハウスみたいな工事現場のパイプと半透明のトタン板を組み合わせたB級感、いやいや手作り感満載の壁と天井。
その簡易な天井を支えるためにあちこちに丸太の柱が立っている。
浴室は縦に細長く、二つの浴槽が並んでいて、手前のひとつはお湯が入っていなかった。
それだけに、お湯を抜くと浴槽の中がどんな風になるのかが目に見えて面白かったとも言える。
空っぽの浴槽は成分で染まって真っ茶色で、浴槽の内側の壁の部分は陸ガメの甲羅みたいに亀甲にひび割れている。
お湯を張っていた時のお湯との境目の部分は、テーブルに粘性のある液体を垂らして固めたみたいな形になっていて、全体として異様な雰囲気だ。
そもそもこれ、浴槽はどういう形のしろものだったんだろう。得体のしれない状態になっていてよく判らない。
ちなみに男湯からは窓から海が見えるらしいけど、女湯は何も見えない。
手前は空っぽだったが、奥の方の浴槽はちゃんとお湯が入っている。
渋い黄緑色の濁り湯で、湯の花がまたすんごい。
細かいのもいっぱい漂っているけど、目立つのはひび割れた流氷みたいなタイプ。
これ、下から指ですくってすりつぶしてみるとわかるけど、まるでガラスのよう。
パリパリと薄く脆く、指で粉々にする感触が儚くてとても面白い。とても綺麗なものを破壊しているみたい。
温度は気持ちぬるめ。湯口の近くならちょうどいい。
においは思ったほど感じられない。
そして意外にもあまりあったまる気がしない。
ぬるいせいもあるけど、出るとすぐに寒いと感じる。でも焦ってまたお湯に入ろうとすると、不規則な析出物にぶつかって痣を作りそうで要注意。
味は出汁味にじゅわっとするものがあり、浴槽の上の看板に鉄泉水とある割にはあまり金属っぽさは感じられなかった。
ここは面白い温泉だねぇ。話のタネにも一度入っておきたいお湯だ。
私たちが上がって駐車場に戻る時、ちょうど次のお客さんの車が入ってきた。
それにしても道路から緑の屋根の廃屋みたいな建物が見えた時はどうしようかと思ったよ。
あっ、あとこのテイエム温泉牧場の向かいのイーグルというラーメン屋はとても美味しかったのでお勧め。