子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 貸切露天風呂が4つもあるので子連れにも
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ 大浴場脱衣所にベビーベッドあり
子連れ家族のための温泉ポイント
最初は行くつもりじゃなかったんだ。車じゃないと交通が不便そうだし。
でも霧島の丸尾バス停でバスを待っていたら朝がた空を覆っていた雲はどこへやら、いつの間にか快晴。これは絶景露天風呂に行くしかないではないか!?
それでバス停から「旅行人山荘」に電話をしてみると、大浴場の日帰り入浴は12時から、貸切風呂なら11時からやってるっていうじゃない。今からバスに乗っていくと10時40分ごろに到着する計算。電話の相手は感じよく、早くつきすぎても現地で待てますからと教えてくれたので覚悟を決めた。
なんの覚悟かって?坂を上る覚悟だよ。
この時間に丸尾から行くバスは麓にしか停まらないから、自分で急坂を登んなきゃ風呂に入れないんだよ!しかしかなりの斜度だな、この坂。
「旅行人山荘」で有名なのは4つの貸切風呂だから、坂を徒歩で上っている途中に車に追い越されて有名な「赤松の湯」が埋まっちゃったら悲しいと思ったけど、追い越す車は一台もなく、時折下りてくる車があるばかり。
しかしフロントに着くと残念ながら硫黄泉を引く「赤松の湯」と「鹿の湯」は既に予約が入っていて、単純泉の「紅葉の湯」と「ひのきの湯」しか空いてないとのこと。ちょっと説明すると、4つの貸切風呂は2つずつ源泉が違うのね。一番人気はよく雑誌やポスターに登場する広めの「赤松の湯」。
まだ10時半と貸切受付時間より30分も早いし、途中で誰にも追い越されなかったのにもう埋まっているとはおどろき、と思ったけど、実は11時からというのは準備ができ次第という意味で、実際にはもっと早くからどんどん入れてくれることがあるらしい。
それで4つのお風呂のうち見晴らしがいいのはどこか聞いてみたけど、どうも4つとも展望があるわけではないという。森林浴みたいな感じだって。展望があるのはむしろ大浴場の方らしい。
それなら紅葉の季節だし、「紅葉の湯」にする。源泉はどちらにしろ大浴場で硫黄泉と単純泉の両方に入れるんだし、浴槽の大きさにはこだわらない。というかマニアなら小さい浴槽を喜ぶ傾向が(わかるっしょ?)。
ということで、フロントで待つこともなく10時半には「紅葉の湯」の入り口に一人で立っていた。わくわく。
いや、本当に素晴らしいロケーション。見晴らしはないけど季節柄、紅葉はばっちり。それが湯面に映るリフレクション。しかも遠くまでずっと木々が見えていて開放感も十分。
単純泉というものの、とき卵状の湯の花もたっぷりで、濁りは薄いけれども完全な透明ではないしゆで卵臭もする。お湯の温度もちょうどいい。
どちらかというと引っかかるタイプの肌触りだが、お湯の中ではするすると滑る。実はかな~りメタケイ酸多めの美肌湯なのだ。
貸切風呂の立ち寄り料金を払うと大浴場もそのまま入れるが、この日に限ってシャワーのメンテナンスで12時半まで待てという。その間にランチ(2000円)を食べるという選択もあったが、そんなにおなかは空いていなかったので、片道700m徒歩15分の花房の滝までのんびりお散歩することにした。
滝までの道のりもベンチが置いてあったりなんか洒落てる。「旅行人山荘」は建物は新しくないけど、要所要所にお洒落感を出していて若い人に受けそうだわ。
戻ってきたら12時前だったのに大浴場の準備ができましたと。つまり当初の予定より30分遅れて入れるはずが、むしろ5分前に入れちゃったって感じでしょうか?
そんなわけで大浴場の内湯も露天風呂も貸切状態。誰もいない。男湯は声がするけど女湯は最後まで誰も来なかった。
内湯がさっき入った「紅葉の湯」と同じ単純泉。露天風呂が「赤松の湯」や「鹿の湯」と同じ硫黄泉。硫黄泉の方が濁りそうな感じだけど、実際は内湯の単純泉の方が青みがかかった乳白色の濁り湯で、露天風呂の硫黄泉はほぼ透明だった。
においは露天風呂の方がかなり強く、特に湯口はうっかり口元が緩みそうになるくらいの新鮮な硫化水素の刺激臭。やわらかなゆで卵のにおいも。外に足湯と飲泉所があるのでそこで味見したら苦かった。飲みにくいほどではないが。
お湯の色はさっきも書いたように透明に近いが、すりガラスのようなわずかな濁りと白い粒・粉状の湯の花はたくさん。そして何より真正面に噴煙を上げる桜山。遠い、遠いけど絵のように端正だ。
お湯が水色で植え込みが緑、その奥にやはり水色の錦江湾と遠く霞んだ桜島のシルエット。近景から遠景まで計算しつくされたような眺望。やっぱり覚悟を決めてせっせと坂を上ってきた甲斐があるのだ!