子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★☆☆ 温度は適温、温泉じゃないけど泉質は問題なし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 貸切風呂あり
子連れ家族のための温泉ポイント
前身は「鵜の島温泉旅館」。東日本大震災で壊滅的な被害を受け、2代目の婿養子であった現在のご主人が宿を再開させたのはおよそ3年後。客室数は家族経営で顔の見える7室。とてもお洒落なCAFE&DINING海音(シーネ)を備えたオーシャンビューの「うのしまヴィラ」が現在の姿。
しかし現在は温泉を名乗っていない。鵜の島温泉旅館という名前だったのだから温泉だったはず。震災で源泉が涸れたのか?と普通は思うじゃない。
その辺が気になって詳しく伺ってみたところ、確かに以前は温泉だった、江戸時代から湧いていた「たまご湯」と呼ばれた鉱泉があり、海中で湧くため引き潮で汲んだという話だった。だがそのたまご湯が失われたのは震災より以前。よその工事の際に源泉のパイプが傷ついてそのまま使えなくなったとかそういう事情。ご主人にも曖昧な部分があるのは、それが前代の頃の話だからと思われる。
「もう温泉じゃなかったのに、鵜の島温泉旅館と名乗っているのに違和感がありましてね」という正直なご主人は、新たな宿の名前を「うのしまヴィラ」と名付けた。鵜の島(うのしま)というのは地名ではなく(この辺りの海岸は太田尻海岸という)、ヴィラから見えるハダカ島に鵜がたくさん留まるのをそう呼んでいる。
じゃあお風呂のお湯も水道水なのかというとそれは違う。敷地内で掘削した地下水を活用していてこれが非常に透明度が高い。pHは8.2で、マグネシウムやカルシウムも豊富に含まれているという。ただし温泉として分析していないので、温泉には該当しない。
何故分析して温泉として登録しないのか。それはいろいろな規制を受けるからと。現在のうのしまヴィラでは、分析すれば恐らく温泉の条件を満たすであろうこの地下水を、塩素消毒せずに贅沢に加熱掛け流しにしている。男女別の浴室「栄蔵の湯」、貸切り風呂「西行の湯」だけでなく、海に面したプールや館内の飲料水も全てこの地下水。
温泉ではなく地下水利用としても、非塩素掛け流しでお風呂に使用するには1日1回の清掃だけでなく、1日2回、お風呂を空にして乾燥させなくてはならないという条件があり、うのしまヴィラではこれもクリア。温泉と名乗らないのに実はここは、とても手の掛かる超こだわりのお湯に入れるユニークなお宿なのだ。入浴すると顕著に肌がツルツルする。すべすべじゃなくてツルツル。
なお、日帰り温泉は以前はやっていたが今は受け付けていない。浴槽の乾燥時間が必要なこともあるが、ランチにCAFE&DINING海音を利用するお客さんと客層が違うので、そちらに注力したいということらしい。というわけで非塩素掛け流しのこだわり風呂に入りたい方はぜひお泊まりで。
食事やサービスなどに関しては、ぜひ私がLINEトラベルjpに寄稿した記事をご覧ください⇒オーシャンビューの小さな宿・日立「うのしまヴィラ」が素敵!