子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 湯温は適温、泉質は特に刺激などなし
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★☆☆ 休憩室有り、同じ敷地にあがつまふれあい公園があるので子連れに向く
子連れ家族のための温泉ポイント
吾妻峡温泉天狗の湯は、時代や政権に翻弄され、現在も建設の是非を問う声の小さくないあの八ッ場ダムに絡んだ温泉施設である。
温泉ファンの間では八ッ場四兄弟などと呼ばれたこともある地元の人のために作られた四つの施設の一つで、仮浴場だったころに訪れたことがある。
仮浴場と言っても立派なもので、建物の外観は真新しくちょっと大きめの共同浴場の感じ、駐車場も休憩室も備えてあり、窓の広い浴槽も十分なサイズだった。
何より贅沢に掛け流される硫黄と金属の臭いのある源泉が上質で、建設の理由が理由であるため一般には公にされていなかったし町外の利用は遠慮するようにと張り紙はあったが、知る人は通う良いところだった。
その天狗の湯仮浴場の休憩室の卓上に、新たに建設される一般向けの新天狗の湯の図面が展示してあった。
ああ、ここはやっぱり「仮」で、リニューアルされちゃうんだねなんて思ったものだが、実際にそれが完成してからはなかなか訪れる機会に恵まれなかった。
天狗の湯のある吾妻峡は、関東の耶馬渓と呼ばれる景勝地であるが、前述の八ツ場ダム建設に絡み一部水没が予定されている。
そのため通る度にどこかしら景色が変わっていて、今回は久しぶりだったので道路も増えていた。
前はこんな道、無かったよねと顔を見合せながら真新しい道路を通って進むと、橋の手すりに「←200m吾妻峡温泉天狗の湯」という看板が見えて、あの地元専用だった天狗の湯もすっかり一般向けになっちゃんたんだなと感慨深く思われる。
はたして200m進むと「あがつまふれあい公園 天狗の湯」という立派な建て看板があった。
設備はぴかぴか、駐車場も広々として、何より驚いたのは遊具や花壇のある公園が併設されていたことだった。
このあがつまふれあい公園、やけに新品だなと思ったらほんの一週間ちょっと前にオープンしたばかりのできたてほやほやだった。
芝生広場、遊具、ミスト噴水、ドッグラン、足湯まであるとは驚き。足湯はもちろん吾妻峡温泉だろう。
天狗の湯の方は赤御影石を切りだした四角い湯船の浴室と、岩風呂の露天風呂ができていた。
露天風呂の一角には茂四朗トンネルを通した時の大きな貫通石も飾られている。
貫通石の小さいものは、縁起物として天狗の湯の売店でも販売されていた。
吾妻峡温泉天狗の湯と言えば、茹で卵のような臭いが印象に残っている。
ほんのりとした茹で卵と金属の臭いは、同じく八ッ場四兄弟の林温泉かたくりの湯のような油系バリバリの臭いとはまったく違う印象だった。
しかし今ここにある天狗の湯は全然違っていた。
臭いはほとんど感知できない。きしつくような肌触りは強くカルシウムを感じさせる。
裏を返せばカルシウム以外の特徴は消されてしまっている。
温泉らしさははっきりと残っているものの、整形した美人のようにまるで別人だ。
設備が整って地元民専用でもなくなって、誰でも気軽に利用できるようになったのはいいけれど、源泉の個性を消さず上手に利用するのは難しいのだなとしみじみ思う。
生花が飾られた立派な休憩室や地元の写真が飾られた廊下などを見ると、とても丁寧に運営されていると思う。
館内にはレストランのたぐいは無く、売店でカップラーメンが売られているだけなのはちょっと寂しいかもしれない。
でも入浴後、受付の前を通ったら、今届いたの、良かったら食べていってと受付の人から塩もみしたキュウリを頂いた。
なんだか嬉しくなっちゃう。
びっくりするほど大きなキュウリだった。
やっぱり群馬はいいなぁ。