子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 泉質は問題なし
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッド有り
子連れ家族のための温泉ポイント
水上の温泉街を見下ろして、利根川の支流、谷川を遡る。
山に挟まれた正面に真っ白の谷川岳。綺麗だ。
途中、左手にペンション街へ降りる道があった他は、ほとんど建物は無く、水上から約3キロ、道は真っ直ぐ谷川温泉に続いている。
私たちは前夜になって急に決めた旅館たにがわに向かっていた。
空は晴れていて、露天風呂から谷川岳を見上げるなら絶対こんな日がいいと、そんな風に思う天気だった。
谷川温泉は太宰治や若山牧水に愛された温泉地だ。
特に太宰は療養のため、川端康成の勧めもあり昭和十一年この地に一ヶ月ほど滞在し、そのときに「創世記」を執筆したとされる。
太宰が滞在した川久保屋は今はなく、跡地に旅館たにがわが建っている。
場所は以前立ち寄ったことのある日帰り温泉、湯テルメ谷川の真ん前。
本当に目の前が旅館たにがわだった。
目の前の道は狭く、それほど良いロケーションには見えない。
でもどことなく品の良さそうな玄関だ。
旅館たにがわの貸切風呂は階上にある。
ちょっとした待合室のようなスペースがあって、右に谷川の湯、左にひのきの湯。
私たちが予約したのは谷川岳の見える谷川の湯の方だった。
お風呂は御影石に縁取られた長方形のもので、それほど大きくはない。
白い塀が高いので圧迫感があり、さらに狭く感じる。
ちょうど塀の奥の方が一段低くなっていて、そこから取って付けたように谷川岳が見える。
なんというか、谷川岳を見せるために無理矢理作っている風にも見えないこともない。
白い谷川岳は存在感がありそれは綺麗だけれど、やっぱり湯船に身を沈めたままではよく見えないのが残念。
お湯は熱すぎずぬるすぎず、子供たちも喜んで入った。
浴槽の底には磨いた大粒の玉砂利が敷いてあり、ちょっと歩くと痛い。
でもこれはちょうど良い子供の玩具になって、しばらく二人はこれを浴槽の縁に並べて遊んでいた。
お湯は無色透明。すっきり澄み切っている。
肌触りもきしきし。さっき入ったばかりの小住温泉に近いきしきしと引っかかるような感触がある。
そして湯上がりにはなにかすべすべとするものがコーティングされたような感じが残る。
この貸切露天風呂は宿泊者は45分間2,500円で借りることができる。日帰り利用も可能だがその場合はもうちょっと高くなる。
でも今回はトクーの宿泊プランに付いてきたので無料サービス
2,500円の価値があるかはお風呂のサイズや景観から微妙だが、それでもせっかく旅館たにがわに泊まるのならこんな贅沢気分にひたれるのは良いと思う。
ちなみに旅館たにがわの温泉は、湯テルメ谷川でも使用している河鹿の湯と自家源泉の混合で、大浴場と大浴場に併設されている露天風呂では温度管理のため一部循環しているが、貸切露天風呂は完全掛け流しだそうだ。
私たちが脱衣所に入って直ぐに注文した升酒とアイスクリームが楕円形の樽に入って届けられたから、それを湯船に浮かべた。
貸切露天風呂の後は大浴場にも行ってみた。
夜には入れ替えになるが、この時間は手前が女湯。
脱衣所の床が畳なのが変わっている。
お湯は内湯がかなり熱くて逆に露天風呂は拍子抜けするほどぬるかった。後で夫に聞いたら男湯は逆だったそうだ。
とにかく広々としたお風呂場には他には誰もいなかったので、好きなだけのんびりとくつろぐことができた。
露天風呂は見晴らしも無いし特にこれといって良いところがあるわけでは無かったので、むしろ木の湯船の内風呂が気に入った。大きな丸太のようなところから湯の出る変わった作りだ。
掛け湯槽がまたちょっと凝っていて、掛け湯槽の横に生花が飾ってある。
この宿は本当に花の飾り方が素敵だ。
湯上がりには無料で使えるマッサージチェアもあるし、谷川温泉の源泉を冷やした冷水を飲むこともできる。
冷やした温泉水は、舌にまとわりつくような独特の感触とさっぱりした爽やかな味わいがある。
疲れ切った手足に谷川のお湯はよく効いた。
温かさが染み渡るようで、疲れが溶けていく。
あんまりのんびり入っていたので、すっかり辺りが暗くなってきたことにも気づかなかった。
そろそろ灯りをつけるような時間になっていた。
客室数35室。
このくらいが良いのかもしれない。
同じ料金払っても、観光バスが大挙して押し寄せるタイプの高級旅館(和風ホテル)だと、こうはいかないような気がする。
とにかくちょっとしたところが気が利いている。従業員の教育が行き届いている。
お客様として扱われることの嬉しさ。
なんとなくそんなものを感じる。