子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★★☆ 泉質★★★★★
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★☆☆☆ シンプルなお風呂だが、空いていて休憩室もある処がお勧め
子連れ家族のための温泉ポイント
四万温泉には公共・公営の温泉施設、いわゆる外湯が六つある。
無料で入れる外湯は、温泉街の入口から順番に上の湯、河原の湯、御夢想の湯の三か所。さらにプラスして露天風呂設備のみの山口露天風呂(現在は利用不可)。
これらは地域の方が清掃・メンテナンスしてくれている。無料で入れることに感謝して入りたい。
町営の日帰り温泉施設は、温泉街に入る手前にある四万清流の湯と温泉街を抜けた先の奥四万湖のダム近くにあるこしきの湯の二か所。
はっきりきっぱり言って一般観光客向けなのは清流の湯の方だ。
露天風呂があるし温泉街手前というアクセスも良い。駐車場だって広い。
しかし、密かに温泉好きに評判が高いのはこしきの湯の方だったりする。
別に設備的には取り立てて特徴が無く、露天風呂も無く、普通の浴槽があるだけだし、場所もわざわざここに行くのでは無ければ来ないような奥まった場所だし、何より無料で入れる外湯がいくつもあるのに400円という料金を払ってまで何でと思うだろう。
それでも良さを知っている人はあえてここに来る。そんな温泉施設らしい。
にも関わらず私はどうしてもここに来られなかった。
理由は至極単純。
こしきの湯に至る道路は温泉街からは外れているため、冬季は閉鎖。
よってこしきの湯も冬季は休業しているのだ。
私が四万温泉に来る時の大半が冬なので、なんだかんだでいつも入れない。
今回やっと夏の訪問となった。
こしきの湯はそれほど大きくないながら小奇麗な三角屋根の建物だった。
ここは日帰り温泉である前に四万せせらぎ資料館というダム関係の展示施設も兼ねている。
四万せせらぎ資料館は群馬県で最初に作られたダム資料館とのことだが、資料館としては小規模だと思う。ここを訪れるほとんどの人の目的は温泉だろう。
同じく町営の四万清流の湯より100円安い一人400円の入浴料を払って中に入ると、女湯は先客が一人。のんびりと入れそうだった。
浴槽は石とタイルのごくシンプルなもので、窓は広く取られている。
一部開閉可能な窓の外は奥行きのごく狭い庭のようなスペースがあり、その向こうに柵があり、そのまた向こうが奥四万湖だ。明るい青緑の水をたたえた、いかにもダム湖という谷間がそのまま沈んだような形をした湖だ。
対岸は低山と青い空。浮かぶ白雲。
窓を開ければ少しひんやりした山の風が浴室の籠もった空気を攪拌する。
お湯は無色透明。臭いはほとんど無い。
きりりと端正で硬質。けれど不器用で主張の少ない印象。飾り気のないこの施設に似つかわしい。
けれど浴槽の縁からは順次掛け流されていくそれは、まぎれも無く本当の意味での贅沢な温泉。
こしきの湯の源泉は、四万温泉では現状唯一のダムより上流から引かれたものだという。
この源泉は湯の泉(ゆのせん)、すなわち今から8年ぐらい前までは首都圏近郊では最も有名な野湯と言っても過言では無かったところのものだ。
残念ながら私は(ほとんどの場合子ども連れだし)野湯には縁が無い。
だから湯の泉も訪れたことが無く、こうして今、ああこれが湯の泉のお湯なのかとしみじみひたるのみ。