子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッドやベンチ無し
子連れ家族のための温泉ポイント
鄙びた地域にあるそれほど大きくない内湯のみの日帰り温泉に、入浴料千円は高いと感じるかもしれない。しかし、沸かさないと適温にならない冷鉱泉で、かつここに温泉施設を再開するまでの苦労を思えば、納得のいく金額かと思える。
群馬県西南にある南牧村(なんもくむら)は高齢化率日本一。むろん人口も少なく現在進行形で過疎が進んでいる。隣接はしていないが、比較的近くに長野県の南牧村(みなみまきむら)があり、よみがなは違えど同じ字を書くので紛らわしい。
「木の葉石の湯」は車道から少し上がった高台にあり、この坂を上っている時から薪の燃える香ばしくいいにおいがする。雨の日だったので湿った土のにおいもする。
建物は古民家で、受付を済ませたら浴室へ。古民家と言っても、和モダンな雰囲気があり、けっこう洒落ている。
脱衣所も浴室もとても綺麗ながらどこか手作り感を感じる。薪で加熱掛け流しにしているので、浴室も燻されたような薪の香ばしいにおい。お湯もこのにおいで美味しそう。
温泉は茶色い濁り湯に見えるが、桶に汲んでみると透明に近い。茶色の大小の粒状の湯の花がたくさん舞い上がり、底にもそれが沈殿しているので、手で底をさらうと手がうっすらオレンジ色に染まる。
浸かっていると、木の浴槽ならではの温かみがしみじみと。肌触りは少し滑りの悪さがあり、味は炭酸水素塩泉らしいじゅわっとするテクスチャーがあるが、塩味は感じず。でもなかなか美味しい。においも味もナチュラル感があって美味しい温泉だ。あたたまりはすぐにではなくじんわりとくる。
もともと源泉が湧出する場所にあった南牧村の共同浴場が廃止になって、そこから少しお湯を引いたところに古民家をリノベしたこの木の葉石の湯が作られた。共同浴場・日帰り温泉・民宿を兼ねている。
作ったのは村内の民宿のご主人で、融資でクラウドファンディングして成し遂げた。この日に受付をしていたのは移住者の若い方だった。
ちなみに泊まれる部屋は2部屋で、受付の棟の2階と離れ。離れは温泉のお風呂付き。食事はオーナーの民宿から届けてもらうこともできるそう。
お風呂でたまたま木の葉石の湯のオーナーの民宿に泊まったという女性に話を伺うことができた。そこに泊まると木の葉石の湯は200円引きで入浴できるそうだ。ちなみに地域住民は無料。
ところで南牧村では移住者をだいだい的に募集している。過疎が進んでいるだけでなく、ここはどこかに行く通り道にならない行き止まりの村なので、南牧村自身を目的地としなければ、なかなか観光客も立ち寄らないのだそうだ。だからこその良さもあると思うので、ぜひ木の葉石の湯を訪ねてほしい。営業日が限られているので注意。