子連れ家族のためのポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ 湯温は適温 泉質は特に刺激など無し
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ 貸切風呂が4つもあるので、赤ちゃん連れ家族にもカップルにもお勧め
子連れ家族のためのポイント
※残念ながら現在は廃業しています。レポートは訪問当時のものとなります。
「古(いにしえ)より、上宝の里にいで湯湧きいづる館あり」と古宝館のパンフレットに記されている。それが宿名の由来なのだろう。
岐阜県吉城郡上宝村、その地名は今はもう無い。古宝館のレポートをまとめるのに手間取っていたら昨日、2005年2月1日をもって上宝村は高山市に吸収合併されてしまった。
さて、旧上宝村には五つの温泉郷があった。平湯温泉、福地温泉、栃尾温泉、新穂高温泉、そしてここ新平湯温泉。その全てを総称して奥飛騨温泉郷と呼ぶ。
昔は一重ヶ根温泉と名乗っていた新平湯温泉は、福地温泉と栃尾温泉に挟まれた平湯川沿いに大きな旅館から民宿クラスまでぽつりぽつりと点在していた。古宝館はその中でも国道に面した堂々とした建物で高級感がある。入り口入ると、ロビーや庭園も重厚で手入れが行き届いている。
古宝館にあるお風呂は全部で九つ。そのうち男湯が二つ、女湯が二つ、混浴が一つ、貸切風呂が四つになる。
建物と道を挟んで向かいにあるお風呂は三つ。混浴の古宝の湯と二つの貸切露天風呂だ。
古宝の湯は庭園風岩風呂で、宿で一番古くからある。
貸切露天風呂は山麓(やますそ)のなごみの湯と名付けられ、やすらぎの湯とくつろぎの湯の二つがある。
この山麓のなごみの湯はテレビチャンピオン大工王選手権で作られたもので、制限時間三十時間以内に三人一組の大工が作り上げたうちひとつになる。奥飛騨温泉郷では他に佳留萱山荘と槍見舘にもそのときに競い合った露天風呂がある(ちなみに優勝したのは佳留萱山荘だった)。
少し作りにちゃちな部分もあるが、三十時間で作り上げたとはとても思えない。くつろぎの湯からは山の斜面に咲く野の花も見えていい気分。
館内のお風呂はそれぞれ男女別の内湯と露天風呂と、貸切家族風呂が二つ。
男女別のお風呂は内湯から続いて露天風呂に出られるようになっていて、特に女湯内湯からの眺めがよい。
谷間を流れる平湯川がよく見える。
お湯はテレビチャンピオン風呂より内湯の方が濃いような気がする。
貸切家族風呂は小さく狭いが、浴槽は総檜。そしてお湯は一番鮮度感がある。自分で札をひっくり返して入るシステムなので、一人で湯船を独占するという贅沢も。
古宝館のお湯は含重曹食塩泉。
僅かに湯口では硫黄のような臭いがするし、すべすべ感が強い。味は僅かな塩味と苦み。内湯では黒っぽい綿埃みたいな湯の花が少し、桧の貸切家族風呂では真っ白な湯の花が底に沈んでいる。
夜寝る前に一人で道路向こうの混浴露天風呂に出かけた。
他に誰一人入浴客はおらず、完全に独り占めだった。
不思議だ。
台風が近づいていて周り中で雨音がしているのに、ここ新平湯は静けさに包まれている。
変だね、とひとりごちれば、中空に少しかすんだまんまるな月。