子連れ家族のためのポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 湯温は適温 泉質は特に刺激など無し
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★★★ 露天風呂には赤ちゃん向けの設備は特にない
子連れ家族のためのポイント
奥飛騨温泉郷最古の温泉、平湯は白猿に発見されたと伝わる。
甲州より攻め入った武田軍が疲労と焼き岳の臭気で倒れんとしたとき、老いた白い猿が平湯温泉に導いたとされている。
今や40も源泉井戸があるという、その平湯温泉でも、最も古く、平湯発祥の湯とされるのが、ここ神の湯。
平湯の温泉街を抜けて、緑の中、急な坂を上ったところにある。
大型台風が接近している夏の終わりに、平湯温泉神の湯を訪ねてみた。
濃飛平湯バスセンターから平湯民族館の横を通り坂道を登ると、建物の影もなくなる。
この道はよく覚えている。
私は以前にも神の湯に行ったことがあるのだ。
何年前だろう。何人かの友人と平湯のやまと館に泊まり、神の湯まで歩いて行ったのだ。
もしかしたらあれが、ある意味私の温泉好きの一端を担ったのかもしれないと思うと、初心に戻るような感慨深い物がある。
曲がり角の看板に、わざわざ「秘湯」と書いてある。
ここまで有名になって、秘湯も何もあったものではないが。
駐車場に車を止めて、急いで子供たちをおろす。
ここまで来て大雨に降られるのは嫌だからだ。
入り口に神の湯食堂と書かれた簡易な食事処と受付がある。
ところがお金を払おうにも、受付には誰もいない。
仕方がないので帰りにでも払おうと先へ進むことにした。
少し登ると右手に休憩用の四阿が、左手に男湯の入り口が見えてくる。
男湯のすぐ上は何か工事中で、大工に混じって受付係がいた。
ここで料金を払うことにした。
しかし何を工事しているのだろう。
休憩所のようなスペースと、奥に露天風呂が見える。
もうひとつ露天風呂を作るのかな。それとも女湯をここに移すのだろうか。
女湯はまだ上だ。
とにかく一番高いところにあるので、もうちょっと我慢して道を登らなければならない。
坂の一番上に脱衣所の小屋があった。
がらりと開けると、数人の先客。3組ぐらいか。
子供たちをぬがせて、掛け湯をしてやる。熱い熱いと悲鳴。そんなに熱くないけど。
大丈夫だよと入れさせる。
ああ、覚えている。半分屋根がかかった岩風呂。こんな風だった。
お湯は二ヶ所から注がれ、ひとつはパイプから直接、もう一つは岩に当たって跳ね返っている。お湯の当たる場所は赤茶に染まっていて、お湯の色もごく僅かに青白く濁っている感じ。白い湯の花が沢山舞っている。
いい感じの硫黄の臭い。
これはなぁ、この臭いは山の方に来ないとなかなか嗅げないから。アブラ系の臭いは平地でも沢山あるんだけど、どうしてもゆで卵みたいな臭いが嗅ぎたいときがある。
味がまたなんとも言えず。
ゆで卵系なのに、じゅわっと来る炭酸な感じ、さらに弱い苦みと金属らしさもあって、非常に複雑でまことに美味しい。これは飲むためだけにまた神の湯に来たいかも。
そこまで思うお湯はそうない。
いつの間にかみんな上がっちゃって、貸切だ。
夏の草いきれ。おにやんま。
ああ、いい湯だな。