子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆ 露天風呂は少し熱め、塩泉なので長湯に注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★★ 脱衣所にベビーベッドなし
子連れ家族のための温泉ポイント
大湯温泉のある鹿角市は複雑な歴史を持っている。現在は秋田県だがもともとは岩手県側の南部藩の領地だった。現地で話を聞いていると「最後の授業」のアルザス・ロレーヌみたいな感じかと。今も素直に秋田県の一部ですと言い切れない風潮が残るのかもしれない。
さてこの「龍門亭 千葉旅館」だが、最初に目に入るのはため息の出るような庭園で、これがロビーからも一部の客室からも、そして露天風呂からも堪能できる。
こんなに雰囲気の良い宿がそれほど知られていないなんて驚きだと思うが、館主によるとむしろ泊まった人は他の人に内緒にしたくなってしまうようだと言う。何かとお忍びで来るお客さんも多いらしい。
お風呂は「麗」と「季」という露天風呂とそれぞれに内湯が付いていて、時間で男女交代制にしていた。到着した日は「麗」が女湯で、翌朝には「季」が女湯になっていた。
「麗」も「季」もどちらも庭園を見ることができるがその角度の違いから異なる印象の景観になる。「麗」は東屋のようになっていて、真正面に庭園が見える。だからまさに一幅の絵のよう。あまりにも完璧な絵面でその中に入り込むのがもったいないようだ。
「季」の方は建物の屋根の下になっているようで、その意味では「麗」ほどのインパクトはない。しかしこちらは池と庭園がより近い。庭園そのものも広く見渡せるし、庭園の中で入浴しているような一体感も味わえる。
お湯は内湯が循環(湯口からは源泉投入)、露天風呂が掛け流しになっていて、浴槽の縁から絶えず溢れていく。。源泉は70度以上だが、意外にも非加水。内湯は循環装置で冷まし、露天風呂は湯量を絞ることによって温度調節している。
源泉は敷地内の4ヶ所から集めて1本にし、旅館内で使用するほか近隣の家などに販売しているそうだ。
内湯は少しぬるめでパンチも弱い気がするが、露天風呂の湯口近くはかなり熱い。といっても湯口も触れないほどではない。色は無色透明、味は焦げ味に淡い塩味。湯上りの肌はつるつるカサカサする感じ。
ほのかにライトアップされた庭園を見ながら夜の入浴をしていると、粉雪がはらはらと舞い降りてきて池に溶けていくのが見えた。時間の流れがゆるやかに感じられる静謐な湯あみとはこのことだろうか。