子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 湯温はこのときは露天風呂が温め、泉質は特に刺激なし
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★★★ 赤ちゃん向けの設備は無いが、川沿いで雰囲気は良い
子連れ家族のための温泉ポイント
川がそのまま温泉というのは時々聞く。
温泉にはまるひとつのきっかけとなった栃木県の大丸温泉などもそうだが、栗駒山に近いこのあたり、天然の滝つぼがそのままワイルドな浴槽となる有名な川原毛大湯滝や、吹上の間歇泉からも近い吹上温泉峯雲閣など、流れている川が温泉でできているところが珍しくない。
この大湯温泉阿部旅館もそうだと知ったのは、実際に足を運んでからだった。
9月も後半の肌寒い日に、前述の川原毛大湯滝を訪ねてその帰りに寄らせてもらった。
小安峡の案山子という店で昼食を取り、その後子供たちが車の中で寝てしまう前にどこかでお風呂に入って帰りたいと思っていた。
大湯温泉阿部旅館は国道沿いなので判りやすい。小安峡温泉街の外れから、車で5分と走らずに到着する。
近づくと、そこいら中から噴煙が噴出しているのが判る。
もくもくと蒸気があがるその中心に、阿部旅館が建っていた。
山の中なのに割りに洒落たロビーだ。小安峡の案山子もだが案外垢抜けた感じがある。入浴料を払うと、お風呂はいったん外に出て川沿いの湯小屋にあるらしい。
男女別の脱衣所と内湯、それぞれに露天風呂が二つずつ。今回子供たちはパパと男湯に入った。
内湯は最初掛け湯をしたとき熱いかな…と思った。まず露天風呂に行ってみよう。川が見えそうだ。
内湯を出るとまず特に展望のない四角い露天風呂が一つある。それから更に階段を少し下りるともう一つの露天風呂に出る。
広くて浅くて割りに温め。川がとてもよく見える。
この川自体が温泉で、一応10月ぐらいまで入れることになっている。
身を乗り出すと男湯の露天風呂の端が見える。ちょうどパパが子供たちを連れて出てくるところだったから声をかけた。
そのまま階段をもっと下りて川まで出てみるつもりらしい。
ちなみに女湯からも川には下りられる。川は混浴なのだ。
子供たちが足を入れていたので湯加減を聞いたらかなり温いらしい。寒い日だし今日はちょっと入れる湯温じゃなさそうだ。
でもお風呂でのぼせたらここまで降りて足を冷やすのもいいかもしれない。男湯からも女湯からも丸見えだけどね。
ほんの僅かに白っぽい濁りがあるだけの綺麗な湯だ。
一番川に近い露天風呂は湯口からは階段状にお湯を投入していて溢れたお湯は川へ流れ込むようになっている。源泉温度が高いので、こうやって冷ましているのだろう。
湯面はほとんど臭わないが湯口に近づくとつんと硫黄の臭いがする。
味も薄いゆで卵味。後味がかなりすっきりしている。
脱衣所にお湯の中に浮いているのは汚れではなく湯の花ですといった手書きの記載があったが、川沿いの露天風呂にはほとんど湯の花は無い。たまに羽枕の羽毛のようなふわふわした緑っぽい湯の花があるくらいだ。
この程度で汚れていると騒ぐ人がいるのかなと思って、もう一つの露天風呂に入ったら、なるほどこっちには立派に成長した湯の花がちらほら泳いでいる。
白っぽくゼリー状なのだ。大きさは大きいものになると親指の爪くらい。長いものは指の長さくらいある。
川沿いの露天風呂と違ってこちらは少量のお湯をごくごく静かに岩を伝わせて投入しており、余分な湯は浴槽内のパスカルの穴から逃がしている。
二つの露天風呂で違った方法でお湯の温度を下げているのが面白い。たぶん川沿いの露天風呂は段々になった湯口を落ちてくる間に湯の花が崩れてしまうのだろう。
まあ、こんな観察は抜きにして、ここは本当に良いお風呂でとてもとても気に入った。
対岸にも振り返ってみる山の斜面にもよく見ると緑のモミジが沢山、ススキも風になびいている。
残念ながら紅葉には少し早いけれどこれが一面に染まったらそれはそれは綺麗だろうなぁ。
最後に内湯に入ったら、内湯は浴槽内で男湯と女湯が繋がっているのだった。子供たちの声がしたから男湯のほうに腕だけ出したら、それにつかまっていきなり子供たちがお湯に潜って女湯側に来てしまった。
ああ吃驚した。