浴室はシンプルで、お風呂は一つ。
角を丸めた長方形の浴槽で、中央からお湯が出ている。
壁の下の方も、浴槽の縁も中も全部タイル製。タイルの目地は使い込まれて茶色っぽく染まっている所が多い。
ここのお湯の特徴は何と言ってもその色。
ただ、エメラルド色というほど鮮やかではなく、どちらかと言うと少し白の混じった翡翠色。
透明度はあまり無く、沈めた腕は見えても足までは見えないぐらい。
油のにおいが一番先に来るが、後から何か硫化水素っぽいにおいも立ち上ってくる。
その油のにおいも灯油とか石油というのとちょっと違って、例えば新潟辺りの強い石油臭のするお湯のにおいと比べると、華やかさが全然無い。もっとなんかこう、あか抜けない実直な感じのにおい。
肌触りはすべすべが強いがにゅるにゅるした感じではない。
そして一番面白いのは体の浮く感じ。お風呂に入っていると勝手に浮いちゃうんだよね。しかもすべる感触だからそのままずるっと仰向けに転びそうになる。
すべすべ感はお湯から出て、ぬれたまま腕をこすっても続いているし、乾いても続いている。
そういえば新屋温泉は浴槽の縁のタイルは元はお湯の色に合わせて青緑色だったっぽい。今は元の色があまり わからない部分が多いけれども。
湯上り外に出ると、入る時はまだ灯りの灯っていなかった新屋温泉の看板に電気が入っていた。